えぇっ?!今度の異世界転生は私?異世界転生したら純愛逆ハーレムが出来た件について

乱輪転凛凛

第一章 第1話 異世界JK

目覚めると私は深い暗闇の中にいた。


誰かの声が聞こえる。


「目覚めましたか?…私の勇者よ……」


視界のピントが合わない。ぼんやりとしている。そうだ! メガネをしていないんだ。そりゃ視界がぼやける。


「メガネ……」私は暗闇の中ぼんやりとしながら寝た状態で手探りでメガネを探したが……

ない……


「なにを探してる? ひょっとして探しものはお前の額についてるそれか?」


私はハッとして額に両手を触れた。あった……なんという間抜け。これじゃ昔のお笑いの人だ。恥ずかしい。


こういうところが私の駄目なところなんだろうな。間が抜けているというか……


天然って見られたくてやってる訳じゃないのに、周りの人間からあざといって言われてしまう。


私はメガネをかけた。視界がクリアになった。するととんでもない美女が目の前にいた。


「私の名前はニュクス。夜の女神だ」

その女性はそう言った。

こんな美人見たことあるだろうか?黒髪にツヤツヤした光が反射してまるで星々が髪についているみたい。


顔も月光のように光り輝いていて……睫毛も長く、なんというか神秘的な美しさ。


私が男だったらまず間違いなく好きになるだろう。ただ……残念ながらそうではなかった。


「聞いていますか?」


「アッハイ!」


声も美しい。まるで心に染み込むような声だ。深くて誰かを思いやるような……


てか、なんの話をしているんだ? 私は。


会話を合わせないと……


「勇者よ……過去生を覚えていますか?」


聞かれた。あれ?覚えていない。なぜだろう。自分が死んだ……らしいことは分かっている。恐ろしいことに

私は死んでしまったらしい。


そして今ここにいるここは黄泉の国なのだろうか?彼女は閻魔大王的な?


「勇者よ……あなたは自ら死を選んでここに来たのです」

そうだ! 思い出した。私は彼女が言うとおり自ら死を選んだ。自殺したんだ。


自分で電車に飛び込んで。突発的だったと思う。気がついたら体が飛んでいた。気がついたら死んでいたって恐ろしいけど、本当にこうなったんだから仕方ない。


私はイジメられたんだ。学校で……高校生にもなってイジメに対抗できなかったんだって言われそうだけど


織姫詩織それが私の名前だった。この名前でも随分イジられちゃったっけ。


イジメはいつの年齢になっても辛い。おじいちゃん、おばあちゃんになっても辛い。イジメる側は永久に気づかない。イジメられている人間がどんなに苦しいかを


私は……馬鹿なことをしたと思う。だけど他にどうすれば良かったのか。誰も助けてくれなかった。


突然急に仲間はずれになった。なんの理由もなく、いや、理由はあったのだろう。彼女たちの中には。ただ私には理解出来なかった。


友達と思っていた人間が突然裏切るこんなことが日常であるんだなってその時思った。


それがクラスの皆まで広がり……


そして罵詈雑言……もうやめた方がいい?暗くなっちゃうよね。


私は自分が死ねばいいんだと思った。それでみんな幸せになるんだと。みんな私を嫌ってるから。


ただ両親には申し訳ないことをしたと思っている。このままじゃ私がなぜ死んだのか分からずじまいだろう。


「あのう……」

私は聞いた。

「私死んじゃったんですか?」


すると

「そうだ」とその女性は厳粛に答えた。


「あのぉ……もとの世界に戻ることって……」出来ますか?と聞こうとした。


ま、そんなことないよな。

そんな都合よく戻れる訳ないよな。自分から死んでおいて何言ってるんだ私は


「お前次第だ。戻れないこともない」

意外な返事だった。

「え?戻れるんですか?」

私は聞いた。ちょっとテンションがあがった。なんかすごい都合いいな私は。


「これからのお前の働き次第というところだな」

そうなんだ。もっかい元いた世界に戻れるんだ。


でも、正直戻りたいかと言えばそうでもないな。両親が気になるだけで


私は目がなれてくると周りを見回した。なんだか巨大なテーブルのようなものが見えた。

……円卓?


多くの人が円卓の席についているのが見えた。多くの人……というのが正確なのか。

人間のおじいちゃんっぽい人も見えるけど、明らか人間っぽくない人もいる。


例えば……そう。あの席に座っている? 人?もの?

黒い球体で目が一つだけある。目のついた黒いボールみたいなものが席に浮いていた。


私はそれをチラリと見ているとそのボールらしき人がギロリ! と睨みつけてきた。


私は小さく悲鳴をあげた。目が血走っていた。目薬をさしているのだろうか?


ふと、別の席を見ると、これもまたまんまるのボールみたいなものが席についていて、このボールは白く光り輝き、こっちは目が三つあった。


目が三つある白い太陽みたいな存在だった。その太陽なものは私を見ると微笑んだ。いや、微笑んだという表現はおかしいか。だって顔はなく、目が三つしかないんだから。


ただ、目を細めて私を見た。ような気がした。


さて、私の前にいるのはニュクスとかいう夜の女王。夜の神か。

ニュクスは話しかけた。


「お前は死んだ、ならば輪廻の輪から逃れられないということだ。我が軍門に下り、我が従者となれ」


ん?なんですと?軍門?従者?なんのことだ?死んでいきなりなにを言い出すんだ。


「従者ってなんですか? なにをするんですか?」と私は聞いた。

「惑星エイシアに降り立って我が力と意志をを行使せよ」

エイシア?なんだそれ。いきなりSFものか?聞き慣れない名前だ。

それは……

「どんなとこなんですか? そこ」恐る恐る私は聞いた。

「行けば分かる」

ですよねー。なんだか最初からそんな感じがしてました。つっけんどんな感じというか。私と会話するの面倒くさい感じですか?


私は言った。

「それって断ることとか出来ますか?」


言ってしまった。


するとニュクスと呼ばれる美しい女性は仕方ないといった感じでうなずいた。


「ではここにいる神々の中からお前が信じる神を選ぶがいい。選ばなければお前は永遠にこの次元にいるぞ」


すると、その円卓の席に座っていた神々と呼ばれる人がいっせいにこっちを見た。


うおっ……なにこの重圧感。この空気感嫌すぎる。

私はチラリと神々を見たが、分からない。分かるはずもない。なにがなにの神なのか。


すると目が合った神いた。またあの神だ。黒い一つ目の神。めちゃくちゃこっちを見ている。見ているというか睨んでる。眼力がすごい。目が血走っている。


見回したがまともな神がいそうにもない。というか誰がどんな神とか分からん。普通こういうのって神様から自己紹介するもんじゃないの?まぁ普通がなにか分からないけど


仕方ない。

「あのぉ……お願いします」私は手のひらをニュクスに対して差し出した。

「ん?私で良いんだな?勇者よ」とニュクスが答えた。相変わらず美しい声だ。


「はい。お願いします」


私は言った。

「でも、どうして勇者っていうんですか? 私全然強くないし、可愛くたってない、なんの取り柄もない人間なのに……勇者って言うならもっと強そうな人の方が……」


ニュクスは黙っていた。

しばしの沈黙の後ニュクスは言った。

「で、なんだ?」

私は少し焦りながら言った。


「だっっだから……私より適任の人がいるかなーーって思ったんですけど……」もはや最後は言葉にならないような消え入る声だった。


「私の従者の任命に誤りがあると言いたいのか?」

なんか雰囲気がおかしくなってきた。


「いっっいやっ、そうでわなくてーー」私は消え入る声で言った。


ニュクスは少し息を吐き微笑んで言った。

「心配するな、私の任命に間違いはない。詩織良いかよく聞け」


「美しい花を飾るときに戸棚にしまっておく人がいるか?美しい花は多くの人が見えるところに置いておいて多くの人を楽しませるものだ」


「では、お前は花が枯れた後に戸棚から出し他の人にこういうつもりか?これが今まで見せられなかった私です。と。実は本当は美しかったのです。と」


「お前が言っていることはまさしくそれだ。ただ純粋なものは他の人の手垢に汚されないように気をつければいい」


ニュクスは微笑んで言った。


「心配するな。お前は美しい」


私はニュクスの瞳をみた。星星がその目に宿っているような美しい瞳。


そこに私が映っていた。似合わないメガネにボサボサの髪どうやったって美しいなんてお世辞にも言えない。


ただ彼女の言葉を聞いて…少しだけ自分を信じられた。


「私の知識と力の全てをお前に与えよう。その身に余る光栄だ。喜ぶがいい」

そう言ってニュクスは私の胸に手を当てた。ニュクスの体が金色に光り輝く。


すると……


な……んだ……これ……


強烈な知識と力が私の身体の中に流れ込んだ。


いや、正確には知識や力といったものに分かたれていない力。


純粋なエネルギーであり、原初の力。


知識を持つ力であり、力を持つ知識


この世を統べるの夜の力そのものの力


それは星々の瞬きであり


月光のもたらす癒しの力


夜の眷族を支配する権能そのものであり


全てを狂わす狂気の力


そして、全ての生きとし生けるものに死を告げる死そのものであり


闇を支配する理そのもの



ニュクスは言った。

「さぁ、その価値を世界に示せ」


いつの間にか私の体は黄金色に輝いていた。そして宙を浮いていた。


そして私の胸には刻まれた。


黄金色に輝く三日月の紋章が。

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