第15話 卒業式
卒業ソングを歌う瑞穂達卒業生。
歌の選択は卒業生が選べるので、流行りの出会いと別れ的なバラードになった。
他の卒業生達には評判だ。だけど中身三十路+αの瑞穂から見ると、ツッコミどころが多い。
歌詞を要約すると[出会ったキミ、長い年月を過ごしたね。でも別れの時は来る、次の出会いを探そう!]だ。
別れ、アッサリし過ぎだろう。歌にして聞いたり歌う分には気が付かないのだろうな。
あと、WOWとかAH~とか多すぎる。原曲聞いたらバックコーラスでずっとWOWWOW言ってるぞ。間奏もずっとAH~言ってる。
おかげで卒業生の中で一部バックコーラス専門で歌ってる人もいる。
歌苦手な人はWOWWOW専門についてる。なんだWOWWOW専門って。
パート決めの時真面目に「WOWWOW専門」って謎単語が飛び交っていた。
瑞穂は吹き出さないように必死だった。いやマジで。
いや、それはもう良いや。
しかし50代付近の教諭達は「何が良いのかが解らない」という顔をしている。
そりゃ、その年では中々若者ウケの曲わからないでしょうよ。
式は恙無く進み、卒業証書受け取りが始まった。
瑞穂は1番だった。出席番号順じゃなくて成績順らしい。後半に呼ばれるほど悲惨な気がする。
卒業証書授与式って、卒業生が多いから二人目から名前と以下同文になるよね。
うー、いかん。退屈過ぎて余計な事しか思い浮かばない。
卒業で泣く人が居るけど、瑞穂は泣けない派だ。
だって仲の良い子達皆同じ中学に行くし、前回は友達いなかったし。
いや、"友達居ない"はそれはそれで泣くかもしれない。
周りを見渡してみると、瑞穂の友達は皆泣いていない。
そこまで仲良くない、知人レベルの子達は泣いている子もチラホラ。
そして号泣する在校生達。え?なんでそんなに泣いてるの?!
ぼそぼそ「ねぇ蓮華ちゃん、在校生なんで号泣してるの?」
ぼそぼそ「無自覚なのね。・・・瑞穂ちゃんとの別れを惜しんでるのよ。」
ぼそぼそ「は?」
ぼそぼそ「例えばあの子。あの子は去年、短距離走の自己記録の伸びに悩んでたのを瑞穂ちゃんに奇天烈なトレーニング方法を伝授され劇的に良くなったそうよ。」
あぁ、・・・どの子だ?
今のエピソードを聞いて思い浮かぶ後輩が10人は居るんだが・・・
あと奇天烈なトレーニングじゃねぇよ!
瑞穂式肉体改造術だよ。瑞穂の足りない筋力を補うため肉体のポテンシャルを最大限に引き上げる為に考案したトレーニングだ。まぁ教えたのは簡易版だけど。
ぼそぼそ「そろそろ式終わるわよ」
あ、ほんとだ。
なんだかあんまり人生の区切り感が無かったな。
2回目だからか?
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