腹ペコエソラ飯のありか

ぴで

第一話 腹ペコエソラ飯のありか

 グー。むなしくお腹が鳴っている。

 私の名前はエソラ、大学一年生。バイトの給料まであと5日もあるのに持ち金を全部パチンコで使ってしまった。

「どうしよっかな」

 1LDKの間取りのコタツに入りながら一人つぶやいた。確かに私にはお金がない。しかし一つだけあてがあった。そろそろ、そろそろ来る頃だった。

 ブー、ブー、ブー

 コタツの上にマナーモードにしてあったスマホが揺れ動いた。連絡の相手は同級生の美雪だ。

(美雪でかした! 待ってたよ!)

「もしもし美雪? ファミレスいるから来ないかって? どうしよっかなぁ〜今ちょっと忙しくてさ」

 もちろん嘘だ、すでに着替えをしながら話している。

「え? 来たらおごってくれるって? それなら行こうかな、じゃあまたファミレスでな。」

 冷静なフリをしてスマホを切り、そそくさと出かける準備をした。

 

 そしてファミレスに着き、美雪がいる席に着いた。


「エソラ急にごめんね、呼び出して」

「いいよいいよ、気にしないで」

「なんでもいいから食べて、今日は出すから」

「ありがとう、何食べよっかな」

 そう言いメニューを眺めるフリをしつつ正面に座る美雪と、その隣に座る男子を見た。

 二人は隣にいるにも関わらず、黙っている。


(よしよし、いい感じに雰囲気が悪いな。)

 

 この隣の男子とは美雪の彼氏、私達と学年は同期だが歳は一個上の田所君だ。

 美雪と田所君は普段は仲がよく、目の前でイチャイチャされているのだがもちろんケンカし仲が悪くなる時もある。

 そんな時はいこごちが悪いのか、美雪はすぐ私に連絡して呼び出し空気をなごませようとする。

(空気は確かに悪いけど、おかげでこうしてタダ飯にありつけるんだから感謝だわ)


 正面にしかめっ面の二人を眺めながら、注文したハンバーグを頬張り、今日の晩御飯はやり過ごすことができた私なのであった。


 これで給料まであと4日。

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