名笛・野可勢の笛の音は、離れ離れになったふたりをつなぐのか――

戦国の最後を飾る、大坂の陣。それを契機に、離れ離れになっていくふたり――

松平忠輝と妻、五六八姫。
真田幸村と娘、阿梅姫。
豊臣秀頼と妻、千姫。

美しき姫たちの、愛すべき人との別離ののちの物語。
あるいは遺児を見守り、あるいは血筋を残し、あるいは弟を支える。
別離のあとにも、人生があり、悲喜こもごもがある。

それらを描き切ったこの物語のラスト――
織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康から松平忠輝へと受け継がれた名笛・野可勢の笛の音が、その調べが響くラストには――万感の思いを抱きます。