第31話 怪異は続く、、、動く土?

 翌日の帰り道、昨日の家の所では家の塀が壊されダンプカーが入り重機が廃材を積み込んでいた。


 作業している人の声が聞こえてきた。

「こりゃひでえ泥で作ったのかよ、昔の土台の方がしっかりしてるぞ」

「お地蔵さん潰して増築したらしい祟られたってよ」

「その前に手抜かれ過ぎ、ほれ蹴ったら崩れる」

「よく今日まで持ってたな粘土だぜこれ」


 <粘土>頭にピンときた何か有る。

「すいませーんその土見せてもらえませんか」


 大きな声を出したので横に居た高坂君が驚いている。


 作業の人が私の顔を見てエッて顔をする、何時もの事だ。

「なんだその顔半分だけメイクか」

「おじさんたちは付いて行けないなあ」

 あきれられている。


「素顔ですよ、此処に埋まっていたお狐様が私に憑りついたの、半分だけキツネでしょ」

「へっ狐、た、確かに狐だけど、、、」

「巫女ですからこういう事は良く有るんです、神様のですから光栄です」

「神様!神様が憑りついてるってか」

「おい冗談だ、それでこの土がどうした」

「狐のお社に使われていた物じゃないかと思うんです、お社を知っている人に聞いてみたいので頂けませんか」

「そうかちょっとくらいなら構わないからこれで良いか」

 

 手に持っていたこぶし程度の塊を渡してくれた。


 そこへ先日の「おやじ」と呼ばれていた人が車から降りてやってきた。

「おっこの前の巫女のお嬢ちゃんどうかしたのか」

「おやじ知り合い?」

 おじさん黙ってうなずいている。


「土台に使われているこの土がお社に使われていた物の様な気がします」

「なんだって土台が土ってどういう事だ?」


 土の塊を渡してくれた人が土台の方へ行って、

「ここ、まるで粘土です、崩れる筈ですよ」

「なんだってそんなばかな、土台が土だなんて江戸時代か、土だなこりゃ、今日の作業はここまでだ、何故崩れたかを調べてくれって依頼があってな役場に行って来なけりゃしょうがねえ、今日は早じまいだ」

「よーし」

 ガッツポーズの作業員さん。



 今日は高坂君用事が有るとかで帰っていった、一人で「葛の葉」へ行き土を信太さんに見せる。

「わあ懐かしい匂い、お社の土台の土だわ、何処にあったの」

「やっぱり、取り壊した家の土台に使われていたんです、返してもらいましょうか」

「うーん、難しいわね、これどうせ処分するだけでしょ、後は任せて今晩のうちにこっちに運んでしまうわ」

「運べるんですか?」

「土を運ぶのは神様の基本よ、国造りの命を呼ぶまでも無いわ、じゃあ私は段取りするからキメラ6時までお店出来る?」

「はい頑張ります」

「私が帰って来なくても6時になったら帰ってね」

「はい了解です」


(どうやって運ぶんだろう、土が勝手に道路を這って行く、、、中々ホラーかも)


 翌朝学校へ行く前に狐横町へ入ってみた、この前お社を見た場所にはお社はなくて土の台が20センチほどの高さに盛ってあった。

(おお怪奇動く土だったのかな)



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