かつ丼とサラダ

クースケ

第1話 かつ丼

ドン!!!

その力強い音が店内に響く


目の前の彼が

テーブルの上に掌を力一杯叩きつけた音だった

はぁぁぁ、と言う海より深いため息の後(のち

彼は呼吸を整え

「ねぇ、おまえは、くやしくないの?」

彼は強張った形相で言った


私は4、5秒キョトンと放心状態に陥った。

彼の口から本気のトーンで、きた言葉に

驚きを隠せなかったのだ

聞き流しやり過ごす事も出来たが

そうはいかないと思い

やっと出て来たのが

「えっ?なにが?」と言う言葉だった。

唐突すぎて他に何も言えずじまいで

気まずい沈黙が続いた。


目の前にいるそいつは木国 進という。

木国とは小学生の時 声をかけたのが

きっかけで小、中、高と

だらだらと腐れ縁が続いている。

家がご近所という事もあり趣味も合うので

よくつるんではこうして井戸端会議をしている。


今時流行らない、

げじげじの太い眉毛と団子っ鼻が、

顔の中心にしっかり位置している。丼ぶりを置き、威勢よくご飯をかっこみながら話す。


「何がだよ。しっかしバラ色の高校生活かと思ったらまた、お前と一緒かよ」

と、花見野 香枝は同じく丼ぶりをかっこんでる。

「俺も、同じセリフ返すよ。しかし、おまえってさあ。テニス歴6年の俺と同じなのに、どんどん初心者に追い抜かれて、くやしくないのかよ」

「へっ、くやしい? 好きだから、続けてるの。そうじゃなかったら、とっくにやめてる」だよなあ。それにしても、逆にすごい根性だよな。と、お互い最後の米粒まできれいに食べると満足げに、水を飲み口の中の油を流す。


「そうだ、先週俺のクラスに転校生来ただろう。」

「うん、難病を克服して、転校してきたとか言ってたな」

「そいつと、友達になってくれないか。おまえだったら、異性としてかまえなくてすむし元気をもらえると思って」

「また進のお節介焼きがでたな。それにしても、異性としてかまえなくてすむって?嫌みか?廊下とか、移動教室で一緒のやつだろう。話してみてタイプじゃなかったら、断るからな」

「ぶっー」思い切り、吹き出す。タ、タイプって、今まで蛇とかやもりとか爬虫類の好きな種類は聞いたことが、あるが……。






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