当たりのクラス

生まれてこの方、人に囲まれまくった事などあったぢろうか。あぁ、あったわ。大人BL本が発売されたその日、同志たちで囲んで読んだわー


うわ、そのノリで果たして乗り過ごしていいの?いや、否である。


「花咲さんの髪の毛サラサラ!ね、どこから来たの?」


「編入試験難しかったでしょ!?」


「花咲さん、お菓子たべるー?」


「てゆーか、背ぇちっさ!何センチ?」




転校初日。どこから湧いたの、と聞きたくなるのは無理もなく、私の席は瞬く間にクラスメイトへと囲まれた。男女問わず、と見栄を張りたいが私を囲うのは全員女の子。お胸がたわわな女の子。


めためたいい匂いするんですけど


『えっと、身長は‥‥多分150センチ、かな』


答えられる質問は残念ながら、身長の事だけ。私、早くも中2くらいで成長期止まって、背伸びなかったんだよね。良し悪し、いやいや悪し悪しだよ


いい事なんてない。黒板の文字は消せないし、書店の本は取れないし、下手したら高さのある椅子に座っても足が届かない。あれは悔しすぎる。足をパタパタ動かして、虚しくなるんだぞ


で、どこから来たの。って質問だけど寧ろ私が聞きたい。ここは私の知ってる日本ですかって


その瞬間、救急車呼ばれそうだけどね



「担任がアレじゃあ緊張したっしょ?」


「無愛想だもんねー」


「つか、表情筋あんのかねー」


私を囲んで、話題に出たのは担任ネコの先生。あ、やべ、先生の苗字なんだったっけ


しかも、無愛想とまで言われてますよー


まぁ確かに?ちょっとやる気無さげな教師だな、とは思いましたよ。えぇ、でもねやる気はなくてもヤル気があれば問題ないんだよ!



「ま、担任はアレだけどウチのクラスは当たりだしねっ」


「いやぁ、それをいったら津雲くんがいるクラスも当たりじゃん」



当たり?津雲?え、何なにナニ

と言うか私の席の前後は何処いった。津雲ってクモの種類じゃないよね。うっかりクラスで動物飼いたい、から虫に変更したんだテヘペロみたいな展開じゃないよね、


私うっかりハエたたきで潰しちゃうよ条件反射でね



『あの、当たりって何?』


周りに集まった女の子たち、全員女子力が高いのは間違いなく見間違いじゃない。


そんな彼女たちは私の言葉でピタリと動きを止めた後、怒涛の勢いで語り出す


「聞いてよ!ウチの学校真面目にやばいよ!」


「なんて言うの?もう最強すぎっ」


「一人一人がさぁ個性強くてさ」


「あとあとエロイよね!」


「わーかーるー!ほんっとそれ」


「お近づきになりたぁいっ」


「同じクラスなだけでも、運使い切った感」



語る語る、途中から彼方此方から声が飛び交い、女子たちの熱が移ったかの様に男子たちも合いの手を入れて、誰が何を言っているのか私にはサッパリ分からなかった。


聞く、というより聞き流してしまったのは仕方ない


頑張って聞いてたよ?真面目にやばいよ!までは聞き取れた。うん、聞き取れた。最初しか聞いてないやん、とかの突っ込みは入らないから


私、聖徳太◯様じゃないもん


あぁ、それと「エロイ」って言葉はしっかりちゃっかり聞いてました、はい。ぐへっ。


つまりつまり、男×男でエロイってつまりそーゆう事だよね!?そうだよね!?え、何ナニ、今保健室行ったら現場見れますか、なんなら私の持ち物らしいスマホで動画撮影しちゃっていいっすか





「ふぁ‥‥んー、よく寝た、な」

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