第6話

「フッ、待っていたぞアグニ。

さあ、死のうたげを始めよう!」


そんな物騒な事を口にするのは

シリウスブラックだ。

夕日の下ずっと一人で帰路に就く道すがらで再び出会った。


「あっ、シリウスブラックさん

こんにちは。奇遇ですね同じ場所で合うなんて」


そう、前世の宿敵にして運命の伴侶はんりょである相手と

土手の上で合ったのだ。個人的には河川敷は人が少ない夜の訪れを報せる風も乗せって吹いている。


「くくっ左様、アグニが現れるまで決して待っていなかったが

そういうことにしておこうか」


まるで俺が来るの待っていたような口調だけど、そんな事が

あるわけがない。

そんな痛い勘違いで、どれほど

心を傷ついたことやら。

ともかく!


「少し話をしませんか

シリウスブラックさん」


「よかろう。魔力を枯渇こかつするわけにはいかないからな。ではお茶を飲むとしよう」


とりあえず俺達は、自動販売機のある公園に移動する。彼女は

土地勘が無かったようなので。


「あっ、シリウスブラックさん

この時間帯だと人気ひとけが無い公園がありますので

ここにしませんか」


「う、うむ。任せよう」


何故か緊張と動揺が混ざったニュアンスで頷いた。


「本当は喫茶店とかで話をしたいんですけど近くは無いし、俺の懐も寂しいで」


「気にするな。わたしだって 現世の決まりには疎いのだから」


完全にフォローなんだけど、

そんな不器用な彼女に俺は好感を

持ってた。前世の記憶という

関係が無かったら絶対に付き合え

ないだろうなぁ。

目的の公園は、ひっそりとして

静寂に包まれていた。夕方になると子供は帰って静かなのは

小さい時に、ずっと知っている。

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