第27話【ウェーイ集団】

「あ、あの!

お、お、おおおはようございます!」


俺の目の前まで来たかおりちゃんは緊張しているのかアタフタしながらも頑張ってペコりと挨拶をしてくれる。


「え、ああ。

おはよう。

かおりちゃんだよね?」


「は、はい!

小野寺佳織です!

あの、お名前伺ってもよろしいでしょうか!?」


「そういえば名前まだ教えてなかったね。

俺は双葉透って名前でこいつが神谷誠司」


俺は自分の名前を名乗ってから隣にいる誠司もついでに紹介する。


「おっす、かおりちゃん。

昨日ぶり〜」


「はい、神谷さんもおはようございます」


もう一度挨拶をしてぺこりとお辞儀をする。


「ねぇねぇ、君かおりちゃんっていうの?

そんなボッチクソ陰キャと話してないで俺達と楽しいことしない?」


「そうだよ。

こんなやつと一緒にいても楽しくないだろ?」


俺達とかおりちゃんがそんなやり取りをしていると話を盗み聞きしていたウェーイ集団の三人が絡んでくる。


ねぇねぇ何で俺にしか誹謗中傷しないの!?

隣に誠司もいるよね!

こいつに非の打ち所がほとんどないのはわかる。でも酷すぎやしないかい?


「おい、お前らいい加減にしろよ」


誠司が俺達を庇うように前に出ようとしたが俺はそれを右手で制し一歩前に出る。


「あのさぁー。

お前らみたいなウェーイ集団がその集団内でどれだけ猿みたいに盛ってようと知ったことじゃないが関係ないやつに絡んでんじゃねぇよ。

それに今俺達が話してんだろ?

人が話してる時は割り込んではいけません。

そんな簡単なこともお前らの猿以下の脳では理解できないのか?」


「ぷっ、わはははっ。

お前ほんと最高だな!

そういう事だ、お前ら去ね」


俺が思いの丈を言い終えると誠司は爆笑しながら俺の肩を叩きその後、睨みながらにウェーイ集団に言葉を投げる。


「お、お前ら調子に乗りやがって!」


「そうだぞクソ陰キャがっ!

神谷もちょっと顔がいいからっていきがってんじゃねーぞ!」


俺達二人の言葉を受け今にも襲いかかってきそうなほどウェーイ集団はキレている。

ちなみにかおりちゃんは俺達の後ろでアワアワ言っている。


「ちょっとあんた達、誠司くんがそう言ってるんだからさっさとどっか行きなさいよ」


「そうよそうよ。

それに誠司様に向かってそんな口聞いていいと思ってるの?」


「そーよ、さっさと引っ込みなさい!」


ウェーイ集団が俺達に向かって拳を振り上げそうになったところで周りの女子達がウェーイ集団に向かって野次を飛ばす。


「ちっ。

行くぞ」


「ああ」


さすがに女子集団を敵に回すのは愚策だと思ったのか俺達をすごい形相で睨んだ後、ウェーイ集団は教室から出ていった。


「みんなありがとう」


ウェーイ集団が教室を出ていったのを確認した後、誠司が俺達を庇ってくれた女子達に向かって笑顔で手を振っると「ギャーっ!」と教室のあちらこちらで女子達の黄色い歓声をあげる。

さすがイケメン。どっかのアイドルかよ。


「二人とも、助けてくれてありがとうございます」


「どういたしまして」


「おう」


「でも良かったんでしょうか?

あの人達凄く怒っていたようですし後で報復とさされたりしないでしょうか?」


かおりちゃんがブルブルと震える。


「大丈夫だよ。

誠司は喧嘩強いし俺にはバックがいっぱい着いてるからそう簡単に手は出してこない」


「バック?」


「ああ、こいつってこう見えて優等生だからな。

成績は常に十位以内に入ってるし授業態度もいい。

勿論提出は完璧にやって提出する。

それに加えて授業後たまに先生に質問をしに行ったりもしてるから先生方の評価がうなぎ登りよ」


家で勉強しない分学校でしてるだけなんだけなのだがそれで先生方の評価が上がったのはとても助かっている。


「そんなに頭がいいんですか!?

凄いです!」


「まぁね」


誠司は知らないかもしれないが俺には先生の他にもう二つのバックがいる。

それは誠司のファンクラブと腐女子共だ。

誠司はメイドオタクだということは皆知っているがそれでもイケメンで運動神経抜群な誠司には結構な規模のファンクラブがある。

これはたまたまそのファンクラブの女の子達が話しているのを聞いたのだが、誠司が俺を親友と公言していることから誠司の笑顔を守るためにいかにもいじめなどの標的になりそうな俺の事を守るのも仕事の一つらしい。

そして腐女子共は俺×誠司で楽しんでいるらしく結構前に「君と神谷くんってどっちが攻めなの!」って聞かれたことがある。

そしてその時に「君と神谷くんが安心してイチャイチャ出来るように全力でバックアップするから任せてね!」とも言われた。

この二つの組織?を合わせるとこの学校の全女子の三分の一は占めると思う。そんなバックが着いている俺に絶対にとは限らないがほとんどの奴はちょっかいをかけてこない。


「ごめん、かおりちゃん。

話の続きだったね。

えっと、なんの用だったの?」


「え?

あ、えっと、えーっと!」


「大丈夫、落ち着いて」


「き、今日のお昼ご飯一緒に食べませんか!」


「ああ、そんなことか。

いいよ、一緒にたべようか」


「ありがとうございます!」


「俺はお邪魔っぽいから遠慮しとくわ」


「いえいえ、そんなことありません!

神谷さんも御一緒しましょう!

そうしましょう!」


「お、おう」


一度は断った誠司だがかおりちゃんの勢いにおされ了承する。


「それではまたお昼休みに」


かおりちゃんはそう言って一度ペコりと頭を下げて教室から出ていった。


────────────────────

1週間ぶりです!

やっと暑さが多少マシになってきましたね。

皆さんはどうお過ごしですか?

自分はアルバイトと課題をやってます。


今回は切りどころが難しくて少し長めになってしまいました。

まだフォローお済みでない方はよろしくお願いします。

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