幕間-その頃の闇の者達

某日、闇の職人達の工房にて…。


「ブレナはいるか!?」

丸刈りの頭と褐色肌が特徴的な初老であろう年頃の巨漢の鍛冶職人の大きな叫び声が闇の職人の工房に響き渡る。

彼こそが、闇の職人達の首領で大師匠であるジュスゾだ。

「ここにいます、ジュスゾ大師匠。」

坊主頭の女鍛冶職人が呼ばれて答える。


「何処の馬の骨とも解らぬ冒険者達が、我が弟子達を次々と捕らえて回っているそうだ。しかも、その中には我々と同盟を組んでいる闇の武闘家の裏切り者の女も1人いるようだ。」

「スズネ・アイスタイガーと言いましたか、あの女は…。」

ブレナはそう返すと、スズネに限らず、エアルやサムソンを含めた幾分かの冒険者達の似顔絵を見て言う。

「儂の生涯のライバル、ピオニーを超える職人を絶対に育てねばならんのに…!!」

ジュスゾはそう忌々しそうな、苦虫を嚙み潰したような顔をする。


「本気で排除する気だな?我々の同門を捕らえたり殺したりして回っている冒険者共を。」

そう語り掛けてきたのは、ジュスゾよりも背の高い、辮髪と筋肉質な体格が特徴的な中年程度の大男だった。

「おお、ニクラス。」「ニクラス大師匠。」

彼こそが、闇の武闘家の大師匠にして開祖ニクラス。彼はブレナの肩に手を置き語り掛ける。

「ブレナよ、闇の職人、闇の武闘家…それ以外共に、お前を含めた幾分かの手練れを私達2人は招集してきた。特に君は闇の職人としての鍛冶修行と武器の技、闇の武闘家としての拳の技、両方を学んできたわけだから、非常に頼りにしている。」

「ありがとうございます。」

ブレナは丸坊主の頭を深々と下げた。しかし、その顔には何故か不敵な笑みを浮かべているのだった……。

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