41 夢の解釈(12)

 ぼくは自分に絶望している。どうしてそんなとんでもないまちがいをしでかしたのか、自分でもよくわからない。きみの言うとおり、人間がサルだと仮定しても、人間がニホンザルだという結論は出てこない。こんなこと、小学生でもしないまちがいではないか。ぼくが言ったことは、病的な思考に見られる「草の三段論法」と同じ奇妙なまちがいを犯している。この線でいくと、ぼくは他にもバカなまちがいをやらかしていそうだ。ぼくはこれまで自分の主張が正しいと確信していたが、その点も怪しくなってくる。きみがなかなかぼくの言うことを理解してくれないので、ぼくはずいぶん神経を尖らせたが、頭に血が上ってヘマをやらかしたのでは、元も子もない。加熱した議論の中でとはいえ、きみにずいぶん酷い言葉を浴びせてしまったことを心から謝罪したい。たいへん申し訳なかった。ともかくこの問題は、少し時間を置いてから、後でじっくり考えさせてもらうことにしたい。勝手な言い分で申し訳ないけれども、このところ立て続いた肉体労働のせいか、ぼくは少し疲れを感じているようだ。きみも働きすぎにはどうか用心してほしい。それでは。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る