第11話

氷幼女「ふぅ…ふぅ…」くてぇ


魔法使い「えーと……」


氷幼女「わらわを殺す気か、貴様ら……」


魔法使い(縮んだ……僧侶ちゃんよりちっちゃい)


僧侶「……水」バシャー


氷幼女「ふぅ……感謝する」


僧侶(……可愛い)


氷幼女「その水、どこから持ってきたんじゃ?」


僧侶「……そこ、水風呂」


氷幼女「なんと!そんなものがあるならはよう言わぬか!」



氷幼女「ふむ……これはなかなか悪くない」カポーン


魔法使い(水風呂に氷を浮かべてる……見てるだけで寒いや)


僧侶(……ひえ)


氷幼女「おぬしらも、入らぬか?なかなか気持ちいいぞ」


魔法使い「えっと……ボクは普通の方でいい、かな」ザプン


僧侶「……同意」ザプン


氷幼女「なんじゃ、つれないのう……」


魔法使い(あんなのに入ったら死んじゃうっての!)



魔法使い「……しかし」


魔法使い「相変わらず肌綺麗だねー、僧侶ちゃん」


僧侶「……そんなことは、ない」


氷幼女「む、何をしておるのじゃ?」


魔法使い「体を洗ってるんだよ。お風呂に入ったら体を綺麗にしなきゃ」


氷幼女「ほうほう……それならばわらわもよいか?」


僧侶「……」ちょいちょい


氷幼女「ふむ、そこに座ればよいのじゃな?」



氷幼女「むむむ……くすぐったいのう」


僧侶「……冷たい」


氷幼女「そうじゃな……わらわの体温は人間からすれば冷たく感じるかもしれんのう」


魔法使い「えー、ほんと……?うわっ、つめたっ!」ビク


氷幼女「わらわにとってはおぬしらの手が少し熱いぐらいじゃが」


僧侶「……白くて、綺麗」さわっ


氷幼女「べ、べたべた触るでない……熱いと言うておろう」


魔法使い「ほんとだ、うらやましー……」ぺたぺた


氷幼女「や、やめろと言うとろうに!わ、わらわは出るっ!」タッ


僧侶「……あっ」


魔法使い「そんな勢いよく立ったら……!」



氷幼女「へ?」


氷幼女「わ、わわわっ」


ドパーン


魔法使い「あららー……言わんこっちゃない……」



氷幼女「……」プカー


魔法使い「気絶しちゃった……」ザパァ


僧侶「……」さわさわ


魔法使い「ちょ、ちょっと!僧侶ちゃん!?」


氷幼女「……ん、あ」ピク


僧侶「……ひんやり」


魔法使い「……」さわさわ


氷幼女「……あっ、ん」ビクン


魔法使い「ほんとだ、ひんやりしててこれはこれで」



氷幼女「あふ……あ?」パチ


僧侶「……あ」


魔法使い「よかった、起きた」


氷幼女「……さっきまでの記憶がないぞよ……」


魔法使い「あれだけ盛大に転んだらねぇ」


僧侶「……大丈夫?」


氷幼女「……もう風呂はこりごりじゃ」


魔法使い「えー、今度もみんなで入ろうよー……あ」


僧侶「……不覚」


氷幼女「ん?どうしたと言うのじゃ?」


魔法使い「服をまた忘れちゃってる……」



氷幼女「服?そのぐらいは魔力でどうにかなるじゃろう」


魔法使い「魔族は便利でいいなー」


氷幼女「あ、あれ……?ふぬっ!」


僧侶「……?」


氷幼女「……場所が暑いせいで集中できぬ」


魔法使い「ちょ、ちょっとまったぁ!」


氷幼女「なんじゃい」


魔法使い「そのまま外に出る気?」


氷幼女「こんなとこ一秒も長くいられんわっ!わらわは出るっ!」


ドンッ


勇者「お、っととと」


氷幼女「わぷ……って、なんじゃお前か」


魔法使い「っ!!!」


僧侶「……!」


勇者「え、どちら様?」



氷幼女「何をとぼけておる。さっさとどかんか」


勇者「ええと……あ、はい」


魔法使い「……」


僧侶「……」


魔法使い「……とっとと、でていけぇっ!」ボゴーン


勇者「ぐぼふぉっ!」ビターン


勇者「……いや、俺何も悪く……ぐふっ」


魔法使い(勇者に見られた……まぁ、初めてではないけど……)


僧侶(……)カァ


勇者「……」ピクピク




氷幼女「むー……上手く魔力が練れん」


魔法使い「……今度はゴスロリか……まぁ、フリフリよりはマシか……」


僧侶「……新しい、帽子」もふっ


氷幼女「わらわとしてはこのままでもよいなら助かるのじゃが」


魔法使い「絶対ダメ!」


氷幼女「仕方ないのう……」


勇者「……」


氷幼女「おい。いつまで寝ておる、さっさと起きんか」ぺちん


勇者「……」ジー


勇者「なんだ、夢か」 氷幼女「ばかもん、違うわ」ぺちぺちん


魔法使い「あのね勇者、これは……」



勇者「……そういうことがあったのか」


魔法使い「ほんとにボクたちもびっくりしたよ!」


氷幼女「ぶかぶかじゃが……我慢するしかないか」



勇者「しかし、あの姿が魔力で出来ていたとはな……」


氷幼女「雪山から出たことがなかったからの。この姿になるのはいつぶりか分からん」


勇者(せっかくの胸要素が……)


魔法使い「……なんかよからぬこと考えてない?」


勇者「いんや、んなこたないな」



氷幼女「ふわぁぁ……魔力がないせいかどうも眠いのう……」


魔法使い「あー、分かるそれ!魔族もそこは同じなんだね」


氷幼女「まぁの……」


僧侶「……」コクコク


勇者「じゃぁ寝るとするかな……おい、宿主」


宿主「はい、なんでしょうか?」


勇者「ベッド一つの部屋とかじゃ、ないよな」


宿主「え?はい、ベッド一つじゃありませんよ」



勇者「で、部屋に来てみれば……」


魔法使い「布団が一つ、敷いてあるね……」


勇者(宿屋で流行ってんのか?これ)


僧侶「……ねむ」ころん


魔法使い「あ、僧侶ちゃん」


氷幼女「わらわも眠いの……ねさせてもらうぞよ」こてん


僧侶「……!」ビクッ


僧侶「……さ、さむい……」


氷幼女「む、む……す、すまんの……」



魔法使い「……で、何でこうなるのかな?」


勇者「さぁ?間に挟まれてる俺にもわからんな」


僧侶「……あったかい」ギュー


氷幼女「わらわにはぬくすぎるぞ……ええい、服が邪魔じゃ」バサッ


勇者「……っ!」


魔法使い「あ、ちょっ!勇者!あっち向いて!」


勇者「へいへい……」




魔法使い「すー……すー」


僧侶「…くー…くー」


氷幼女「……」


勇者(……みんな寝たか)

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