第20話:ドイツで嫁さんが闇落ち

オープンステーションには色んな人が入院する。

人の行き来が激しい。

毎週、1人~3人退院して、新しい人が直ぐ入る。

これは、とある女性が入院し、僕に絡んできた時の話だ。


この日は、ランチ後のセラピーのキャンセルで暇をしていた。

暇だったので、お気に入りの紅茶を淹れ、

誰も居ない共有スペースのソファーに座った。

誰も居ない部屋は落ち着く。

やっぱり僕は一人が好きなんだなぁ

と思いつつ、紅茶を飲んでいた。

そんな静寂を壊す者、襲来。


この女性、名前を忘れてしまったが、

若い子だった。

後、服装が派手だった。

そんな人だ。


彼女はまじまじとこっちを見て、


「何処の国から来たの?」


アジア系を見るのがそんなに珍しいのか…?ドイツの病院だからか。

そんな事を思いながら、回答。


「日本」


彼女は頷きながら


「歳は?」


歳?アジア人は若く見れるから確認かな?と思いながら答える。


「31だ」


それを聞いて彼女はこう言った


「君、ドイツ語出来ないんだよね」


あー…よく分からない、何がしたいんだ?と思いながら、


「うん、出来ないよ」


と答えた


すると彼女はこう言った


「ドイツ語教えてあげる」


間髪入れず


「結構です」


彼女はニヤニヤしながら


「気が向いたら、いつでも言ってね」


やっぱ、メンタルクリニックだから不気味な人も居るよね。

と思いながら、紅茶のお替りを淹れる。


その後、話しかけられるが別に何も深い話はしてない。

ただ、気に入らないのは…

物理的な距離が近いし、肩を触ってくる

僕は、知らない人に近づかれたり触られたりするのは不快感が高い。

日本の通勤ラッシュを避ける為引っ越しをする位、他人に触れられるのが嫌なのだ。


外国人ってこんなに馴れ馴れしい物なのか…?

カナダではそんな事無かったぞ…ニュージーランドでも無かったな…

ヨーロッパはやはり違うのか…?

きっと、悪気は無いんだろう…次会ったら言おう。

そう考えていた。


僕は嫁さんに聞いてみた。

嫁さんにその人がどんな行動を取ってくるか説明した。

嫁は聞き終わるとこう述べた

嫁:「幾らドイツ人でもそんな奴は居ない!」

僕:「そうなの?!文化の違いだと思ったぞ?」

嫁:「ドイツ人はそんなオープンじゃないわ…」

僕:「つまり、失礼な人と言う事か」

嫁:「違う」

僕:「え?じゃあ病気か何かか?」

嫁:「真面目に考えろ」

僕:「サーセン」

嫁:「貴方に興味があるのよ、きっと」

僕:「ハハハ、(ヾノ・∀・`)ナイナイ」

嫁:「直感だ」

僕:「ニュータイプかな?」

嫁:「取り合えず、今度そいつを教えろ」

僕:「オーケー、ドン」


後日、嫁さんと一緒に居てる所に、その女性を見かけた。

その女性は親と一緒に看護師と話をしていた。

僕は嫁さんに「あの子だ」と言った

嫁さんはその子をジーっと見ていた。


満足したのか、こちらを向き

いつも通りのクールフェイスで淡々と言った


嫁:「体系は良いが、服装がビッチだな」

僕:(あれ…?嫁さんからビッチって言葉が…)


嫁:「将来あの親の様な醜いデブになるし」

僕:(ん?…今度はデブ…)


嫁:「頭の悪そうな顔だな」

僕:(ちょっと嫁さん、すごい暴言吐いてません?)


嫁:「そうか、頭が無いから、あの顔で落とせると思ってるんだな、鏡見ろ」

僕:(あー聞こえない、聞こえない)


僕は何とか落ち着いてもらい、その日は引いてもらった。

だって、怖いんですよ、血の気が引くレベルで。

マジで知らない人じゃって錯覚する位別人だったんですよ…


尚、幸運な事に、その週にイケメンが入ってきて

彼女は話しかけてこなくなった。スケープゴートが来た!

そして僕の心と体に平和が訪れた。


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普段、嫁さんが悪口とか言わないんですよ。

それ故に驚きましたし、やべぇよやべぇよ って出〇状態でしたね…

よっぽど怒ってたんですねー…珍しい。

この事に触れると、不機嫌になるので、僕の中では禁句になってます。

女性は、怒らせてはならない。(戒め)


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