第18話:ドイツで僕は嫁さんに愛されている事を知る

二回目の隔離病棟に入って、

投薬量の増加と、追加でしたが、そんなに体に不調は無かった。

そして、隔離病棟は快適だ。

会話しなくていいし、誰も何も言わない。

タバコを吸いに行く時は外に出なくて済む。

外に出れない。

それが苦痛とは全く思わない、ご褒美だ。


そんな毎日を過ごしていて

嫁さんと娘がお見舞いに来た。

嫁さんは相変わらず綺麗で、娘はカワイイ。

看護師から娘は人気で果物やプリンを貰ったりしている。

美人だから、将来男関係で大変だろうな…

そんな事を思っていた。


僕は嫁さんと病気について話をした。

統合失調症ってあり得るかとか。

嫁さん曰く、僕の記憶に疑問は持っていた様だ。

年がいつも違ったり、時系列が兎も角滅茶苦茶だと。

後は起きていない事が起きていたりとか。

喧嘩した時がそうだった様だ。


僕が出会った時に既に鬱病だったのかなとか

嫁さんはそれは否定出来なかった。

周期的に貴方は凄く気分が落ちていたらしい。

気が付かなった。

「何でこんな欠陥品と結婚したの?」

と、僕は聞いた、正直言って不良債権になり得る。

人生を賭ける程の価値はない、むしろ回避案件だ。

冷静に考えて、「地雷」だ。


彼女は笑いながら言っていた。

「貴方が鬱病だったのかもしれないけど過ごした時間は幸せだった」

「いつも私しか見ない、若いのに出生して、常にカジュアル、クール系な顔

 で声が良い、私にとても優しい、いつも私に真剣じゃない」

「背が低いし、タバコ吸うし、部屋を散らかすし、服はたたまないけど」

「それでも、貴方の本質は変わらない、

 貴方の心に恋をしたの、だから結婚したのよ」

「貴方の好きな言葉でさ、人は何故落ちるのか、それは這い上がる為ってあるよね」

「今が底よ、きっとまた這い上がる、だから私は貴方をドイツに連れてきた」

そんな事を言ってくた。


正直、惚れた、イケメンかよ、泣かす気か?と思った。

僕はロマンスドラマのヒロインじゃないぞ。

クールにそんな事言いやがって…

聞いていて、顔が赤くなったんじゃないかって位顔が熱い。

なんて返答すれば良いのか分からない、こんな経験は初めてた。

「あ、ありがとう…、うん…返品は受け付けないからね」

こんな回答しか出来なかった。我ながら情けない回答だ。

嫁さんは察したのか、話題を変えてくれた

「しっかり治療して、治ったら、デートしたり、家族で何処か連れてって」

ニコニコしながら言っていた。

尚、娘は僕のベッドでおもちゃと遊んでる。


僕はこの一件で、治療に前向きになれたと思う。

彼女と娘の為に頑張ろうと。

そして一つ学んだのは

凹んだ時に愛されている事を知るのは、良い薬だなって。


それからの僕は変わった。

薬を毎日飲み、人と会話し、身だしなみを整えたり、

日記を書いたり、外に出ようと思った。

看護師達や医者も驚いていた。

これがきっかけで、2週間後にはオープンステーションへ戻った。


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思い出すだけで顔が赤くなりそうです…

外国人は愛情表現が凄くストレートです、分かりやすいけど

僕のマインドがオーバードライブするので止めてください。

多分、英語から訳してるから余計そうなるのかもしれませんが…

お互い母国語じゃない言語で会話してますし…

そうだ、そうに違いない。


僕の好きな言葉ですが、

『Why do we fall? So we can learn to pick ourselves up.』

バットマンの執事アルフレッドの言葉です。

本当の意味は、

『人が落ちるのは這い上がる事を学ぶ為』

だです。

Dark Knightは名作。


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