オレたちは学園に戻ってきていた。

 クラスメイト達の拘束魔法ジェイルはオレが解除ディスペルしておいた。

 みんなにはセレスは敵に脅されていたと言って仕方なかったと納得してもらった。

 しかし、クシェルとオリビアには本当のことを言ってちゃんと謝るようにオレと約束していた。


「クシェル、オリビア、本当にごめん。謝って許されることじゃないのは分かってる・・・。ほんとにごめん」


 校舎の中のとある一室でセレスは頭を下げていた。

 この部屋にはセレス、クシェル、オリビア、オレの4人しかいない。


「こいつも色々あってな、苦しんでいたんだ。許してやってくれないか?」


 オレからも許してくれるようにお願いした。


「頭を上げてくださいセレスさん。私は怒っていません。それに事情を聞いたら怒れませんよ、ね、オリビア」


「そうね、まぁ人には言いたくないことの一つや二つはあって当然だと思うわ。セレスも大変な人生を送ってきたことはわかったし特別に許してあげる。本当に特別よ!ガゼルのお願いじゃなきゃ許してあげないんだから!」


 オリビアは恥ずかしそうな顔を隠すように腕を組んで後ろを向いた。


「ありがとう・・・みんな・・・」


「よかったな、セレス」


 オレがそう声をかけると、うん、と返事をした。






「それで、アンタの抹殺を依頼してきた奴は何者だったの?」


 少ししてからオリビアからそんな質問が飛んできた。


「分からない。それらしい女には会ったんだが本物かどうかも分からないしな・・・」


 そう、結局敵の正体は掴めなかった。

 あの後アジトの瓦礫の中を少し調べてみたがそれらしい情報は出てこなかった。


「せめてオレ個人を狙ったのかそうじゃないかだけでも分かればよかったんだが・・・」


 この発言にオリビアは少し気になったようでオレに尋ねてきた。


「えっ?アンタだから狙われたかもしれないってこと?優秀だからじゃなくて?」


「いや、そんなことはあり得ないから忘れてくれ」


 オレは一応否定しておいた。

 このことはバレれば面倒なことになる。

 さっきは少し言いすぎたか。

 ーーーーだが、この予想が当たっていれば面倒なことになるのは避けられない。

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