決意

 オレは男達のいる小屋にいた。

 さっきの様子から一変して、慌ただしいほどに混乱している。


「どうするっ?早く助けに行かないと子供達がっ」


「待てレイク!助けにいっても返り討ちに遭うだけだっ」


「だからって見捨てられるかっ!早く行かないと妻と子供がっ」

 

 結論が出ないまま言いあらそっていた。

 放っておけば最終的には助けに行くということできっと話がまとまるだろう。

 だがそれでは助けられない。オレの推測通りなら、この1件には悪魔が関わっている。

 魔物と悪魔は魔族という点では同じだが、厳密に言えばかなり違う。

 魔物は、知性が極めて低く、人間を見ると襲いかかることしかしない、言ってしまえば悪い動物のような存在だ。

 一方悪魔は、知性が高く会話もでき、人間並みの知能もあり、そして一番の違いは魔法を使うという点だ。

 オレの読みでは、今回の襲撃は悪魔に操られた魔物によるものだ。

 でなければ、隠れた人間を見つけたり、さらったりする説明がつかない。

 そして悪魔は魔法の使えない人間が勝てる相手じゃない。

 このままだと彼らは犬死いぬじにしてしまう。


「よければオレが助けましょうか?」


 全員の視線がオレに集まった。


「……ガゼル、できるのか、君に?」


 疑うような視線を向けられたが、おくせず続けた。


「こう見えてもオレは魔法騎士を目指してるんです。魔物ぐらい倒せます」


 ちょうど身体を動かしておきたかったところだ。

 レイクはしばらく考え込んだ後、助けにいきたい気持ちをこらえて、オレに託す。


「…すまない、頼めるか?」


「はい」


 オレはその期待に正面から応えた。

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