みさきの餌付け方

さいとう みさき

一皿目


 今日も疲れた。

 仕事から帰ってくると、みさきがYout△beでお気楽に楽しんでいる。


 「おかえり~い。ご飯炊いといた。あと味噌汁も作った。あとお願い」


 「それだけかよ!?」


 私は仕方なしにエプロンをして手を洗う。

 そして冷蔵庫の中を見るのだが‥‥‥


 「買い物行ってないのかよ!? 何も無いじゃん!」


 「あー、半額のカキまだあったよ~」


 見ると加熱用のカキがある。

 半額、賞味期限昨日。


 野菜室を見る。

 もやしがある。

 後ニンニクとかもある。


 仕方ない。

 それでは餌付け用の品を作るか。



 本日はこれ。

 <カキのオリーブオイル焼き>


 1、加熱用カキを水で洗い流す、これで傷み具合を確認。ぬめりはよくとる事。

 

 2、にんにくをスライスする。


 3、みさきが買ってきた行きもしないのにあるキャンプ用の鉄のフライパンにオリーブオイルを入れて弱火で過熱開始。


 4、にんにくを入れてペペロンチーノ同様焦がさない様に油に香りを移す。

   この時点で部屋中にいい香りがし始める。

   みさきの耳がピンと立ってこちらに興味を示し始める。


 5、洗い終わったカキをキッチンペーパーで水拭きして軽く塩を振っていた物を鉄フライパンに入れてソテー開始。


 6、軽く焼目が付いたらブラックペッパー、そして白だしを入れてさらに軽くソテー、カキから焼汁が出始めたら白ワインをぶっこむ!


 7、既にみさきが寄ってきているのをしり目によく火を通しながら最後に乾燥バジルを入れる。


 8、百均で買ってきた「おしゃれまな板(キャンプ用)」に鉄フライパンを移動して最後に乾燥パセリをパラパラ。

   ここまでおよそ十五分以内。



 既に部屋中イタリアンな香りでいっぱいになる。

 みさきの尻尾が激しく揺れている。


 野菜はもやしを軽く焼いてエバ〇黄金のたれでさっと味付け。

 もやしはシャキシャキ感が残る程度に強火で炒めるのがコツ。

 ご飯と心配になったみそ汁の味を確かめてから食卓へ。



 本日の晩御飯、「かきのオリーブ焼と簡単モヤシ炒め」の出来上がり!



 ちょっとおかずが少ないのでザーサイの千切りにごま油と万能ねぎを切った物も箸休めでさっと作って追加。

 

 既によだれ垂らして尻尾振り切れんばかりに食卓に着席しているみさきを見る。

 こいつ、箸ぐらい出せよな!


 そう思いながら着席。


 「「いただきます!」」


 手を合わせてから食事開始。


 早速カキを一つ取って口に入れる。

 オリーブオイルに染み込んだニンニクの香りがたまらない。

 口に入れプリッとしたカキを噛み砕く。

 磯の香りとブラックペッパー、そしていい塩梅の白だしのおかげで口いっぱいに広がるクリーミーな味わいに舌鼓。

 表面も軽くソテーして焦げ目があるから香ばしさもある。

 白ワインの独特なうまみが全体をきっちりと引き締めている。


 「おいしぃっ!」


 それ以外お前は言えないのか?

 毎回そんな事を思いつつ嬉しそうに食べるみさきの顔を見る。

 

 ほんとこいつって美味しいもの食べてるときは嬉しそうにするな‥‥‥


 仕事の疲れも忘れてそんな事を思いながら食事をすすめる。

 


 「あー、もうなくなっちゃった。これ美味しいよねぇ~」


 「ふっふっふっ、ここで終わりと思うな! この残ったカキのオリーブオイルと焼汁にだなぁ~」


 私は炊飯器からご飯を鉄フライパンに入れてガスコンロへ。

 そしてバターを少々と醤油で味付けしてさっと炒める。

 最後に乾燥パセリをパラパラと。


 「ほい、追い飯の『カキ風味バターピラフ』だ!」


 「うわっ! 卑怯者! これ絶対に太る!」


 「ならば喰うのを諦めるかな、お嬢さん?」


 「食べるっ!」


 そして追い飯のカキ風味バターピラフを食う。

 何も語る必要は無いだろう。

 わざと焦げ目をつけたご飯が美味しくない訳ない。


 最後は取り合い。


 「あー、明日からダイエットするぅ~」


 私は手を合わせてから「ごちそう様でした」をするとみさきも慌てて「ごちそう様」をする。

 


 そしていつもの笑顔でお粗末様でした!

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