第終話 戻っても死んでる その1(後日談)

「ホァイ!」スタッ


帰還したー!


「む、帰ってきたか」


「うん!ただいま!」


「力の調子はどうじゃ?」


「もちろん強くなったよ!」


「変わったことは無いかしら?」


「変わったところは一つある!出てこれる?」


「…ちーっす!」


「「「「「!?」」」」」


「自己紹介しよう!俺はカカオの人の時の姿だ!」


「…ん?」


「どういうことだ…?」


「えっと…パークに来たのは自殺したから、というのはわかるな?俺はその自殺するまでの姿だ!」


「…性格違うのは気のせい?」


「転生時に性格が変わるかもしれないってことだからな」


「そうか。…さて、今日からまた本格的に修行を始めr」


「待って!?僕めっちゃ疲れてるんだけどさ!?」


そうなんです。女王と戦ったばっかりなんですよ。


「そうか…どうするかの…」


「…そうだ!私たちでオレンジに料理を振る舞ってやればいいんじゃないか?」


「確かに。それならオレンジもゆっくり休めそうだわ」


「…じゃあお願いしようかな?現在時間もちょうど夕ご飯に近いし?」


「…じゃあ何にしよう」


「それなら…ゴニョゴニョ」


なんでそんなヒソヒソしてるの?別にいいじゃん!


「…そうだな。よし、待ってろ。わしらがとびきりうまいものを作ってやるから待ってろ」


「お願いするよ!」


へぇ…まさか四神のみんなとセーバルさんにご飯を作ってもらう日が来るなんてね…



「…さて、疲れているからこれでも飲んでゆっくりしてるといい!」


「お、ありがとね?この匂い…ココアだね!」


「お前の妻が「オレンジが好きな飲み物はココアだ」って言ってくれたからな!」


「そっか。じゃあ早速いただくよ!」


「…どうだ?」


見た目はね、すごいよ。ココアに生クリームが浮いてるよ!?では早速飲んでみた。…なんだろう。味は普通のココアなんだけど…普通のココアよりも甘い気がして…ミルクの量も多い気がするよ?


「…これ改良した?」


「おお!?よく気づいたな!このココアは確かに粉で作ったがそれに砂糖と牛乳を少量加え、さらにそれにハチミツと生クリームを加えたのがこのココアだ!」


「…聞いたね?」


「バレたか…」


そうなんです。このココアの作り方はオオカミさんが作るココアなんです。なんといってもこのココアのいいところは疲れが取れるところ!まあオオカミさんが作るココアのいいところはそれに愛情がこもってるところだけど!オオカミさんはね、作ることに僕とか子供が関わってくるとなんでも愛情を込めて作ってくれるんですよ!そのことはオオカミさん曰く、当然好きだから、とのこと。まあオオカミさんが作る料理は愛情こもってなくても美味しいけどさ!


「でもこのココアは疲れが取れるからちょうどよかったよ!ありがと!ビャッコ!」


「…どういたしまして、だな!」


…なんかさ、ビャッコさんって可愛らしいところがある気がする。四神の威厳は一応あるんだけどね!


「それとさ、今日の夕ご飯…カレーだね?」


「…どうしてそんなにわかるんだ?」


「めっっっちゃ匂いがするんだよね?」


「…確かにな」


「この匂いがして逆にカレーじゃないって言われたらどうしようって思ってたよw」


「まあ今日の夕ご飯はカレーだから楽しみにしていろ?」


「うん!楽しみにしてるよ!」



「…一つ完成したわ」


「おっ、サラダか!」


「まだ食べないわよ?」


「わかってるって!」


「…オレンジ。一つお話をしましょう」


「ん?セイリュウが話とか珍しいじゃん!」


「…オレンジはオオカミのことをどれだけ愛してるのか気になっただけよ」


「どれだけって…もちろん無限大だけど?」


「ハァ…やっぱり。言うと思ったわ…」


「え?なんで?」


「…オオカミに聞いたら全く同じことを言ってたわよ…」


「え!?ほんと!?」


「ここで嘘ついても何にもならないわよ…じゃあ子供はどれだけ愛してるのかしら?」


「一緒だよ。無限大!」


「…ふふっ!」


「…?セイリュウさんが笑うなんて珍しい…割と無愛想に見えるけどさ」


「ひどいわね!?…まあもちろんオオカミも一緒のことを言ってたわよ。なんでこんなに一緒になるのかしら?」


「…相思相愛。まさに2人にはこの言葉がふさわしい」


「…ゲンブも来てたんだね?」


「もうすぐで完成するから報告に来た」


…なんか無愛想みたいに見える2人が来たね…?


「…ねぇ、こっちからも一つ聞いてもいいかな?」


「なんだ」


「…2人とも…笑顔!」


「「え?」」


2人と喋るとなんか余計に緊張するのよ。なんかね、怖い。


「自分が笑顔だと思う笑顔を作って?」


「…こうか…?」

「こう…かしら…?」


「うーん…なんか違うんだよね…」


「どういうことだ?」


「そのね、笑顔でも2人は怖いんだよね…」


「「怖い…」」


「ほら、ゲンブは吊り目だから勝手に怖く見えちゃうんだよ。それにセイリュウはちょっと上から目線みたいな感じに見えちゃうから怖いんだよ!」


「そんなこと言われても…」


「簡単に治せるけど?」


「「治す!」」


「よしきた!」


まあ反応がいいようで!


「まあ笑顔の基本は目を閉じるか薄目だけど…薄目で行こうか!さっきの自分なりの笑顔作ってみて?」


「…できたわよ?」


「よし!じゃあそこで目を細めてみて?」


「こうか…?」


…待って!?変化すごい!怖いが可愛いに変化した!?


「待って待って待って!?」


「え?やり方おかしかったかしら?」


「その逆!むしろよかった!最高の笑顔をいただきました!」


「怖くなくなったか?」


「うん!」


「それはよかったわ。セーバルに教えたらどうかしら?」


…そうか。セーバルさん、一応無愛想ぽく見えるのか。


「そうしようかな?」ズズ-


「まあもうすぐでできるからご飯を食べ終わってからで頼む」


「わかった!」



「…ふふ…やっぱり来ると思ったよ」


「…我が近づくことに気づくとは…」


「みんなと話してたからね。多分来るだろうなーって思ってたところだよ」


「…オレンジ。我はお前が帰ってきてくれてよかったと思っている」


「なんで?」


「…お前はパークの第二の救世主となる運命を背負っているようなものじゃ」


「第二?」


「第一の救世主はかばんじゃ。巨大黒セルリアンの誘導に成功し、一体のラッキービーストと己のフレンズ化解除という犠牲を払いながらもパークを救った人のフレンズじゃ。だがたった今、こうしてお前らが来たことにより、お前の闇の心が表に出てしまったことにより、新たな危機が生まれた。だがお前らなら…フレンズたちの絆を束ね、救うことが可能だと思う。だから…」


「パークを救ってほしい?」


「そうじゃ。…頼めるかの?」


「…いいですとも!」


「その言葉を聞いて安心したぞ!さて、そろそろ出来上がるころかの…?」


結構待ったね!…まあカレーは煮込めば煮込むほど美味しいからいいけどさ!



「「「「「「いただきます!」」」」」」


さて、今日の夕ご飯は四神の皆さんとセーバルさんが僕のために豪勢にカレーを作ってくれました。もちろん、サラダもあるよ。

カレーは挽肉ベース、サラダは僕がよく作るやつ。皿にレタスを敷いて、その上に色々盛り付けるタイプ。


「…じゃあ!早速もらうよ?」


「「「「「…」」」」」


食べると…うん!カレーの味!でも何か違うような…なんだろう。すごい懐かしい味。


「…ねぇ、これ普通のカレーじゃないでしょ。これもオオカミから教わったでしょ」


「やはりバレたか…」


「でも長い修行が終わったからお疲れ様って意味でこれを作ろうってなったの。オオカミ曰く疲れが取れるし、オレンジの大好物だって言ってた」


…それは本当みたい。りんごの果汁とハチミツがしっかり入ってる。量もいいし。


「…そりゃどうも」


「なんだ?あまり嬉しそうじゃないな?」


「…このレシピはオオカミに作ってほしかった…」


この料理レシピを考えたのは別の人だけど分量を考えたのはオオカミさん。だから分量が違うだけで全く違う味になるからオオカミさんに作ってほしいんだけどそれを難なくコピーしてくるとは。


「…そうか。我らの計らいが裏目に出てしまったな…すまない」


「ううん。いいよ」


「…もうバラすが…そんなオレンジにもう一つサプライズを用意してある」


「ん?」


サプライズ?なんのことかな?


「…やあ?」ギュ-


「…!?オオカ…ミ…!?」


…はい。すごい嬉しいです。非常に嬉しいです。だって急に後ろから抱きつかれるんだよ!?嬉しいに決まってるじゃん!


「久しぶり?」


「オオカミ…!その顔をよく見せて!」


「んん…?いつもより違うけど…大丈夫かい?」


「ずっと会いたかった…異世界に飛ばされてからもずっと会いたいって思ってた…!」


「そうかい…大丈夫。安心して。この私は正真正銘、オレンジの妻のタイリクオオカミさ。怖がる必要はないよ?」


「さて、これがサプライズじゃ」


「今から明日のお昼まで、ずっとオオカミにいてもらうわ」


「どうだ?」


「…ない」


「え?」


「足りない!まだ3人!」


「3人…あぁ…」


「そう!子供たちもお願い!ほら!この通り!」


「…全く、疲れているからこそ欲しい癒しというものか?それとも会いたいのか?」


「どっちでもいい!そんなことより我が子に会いたいんだよ!」


「…いくらそれは…」


「わかった。ちょっと待っていろ」


「ビャッコ!?いいのか!?」


「オレンジのためだ。特別な修行を頑張ったオレンジにこれぐらいの計らいは必要だと思う。それに…オレンジの親友として…心の支えになると同時にやれることはやってやりたいんだ」


そうそう、伝え忘れたけどあっちに行く前にビャッコさんと話す機会が多いから、という理由で親友になりました。


「…はぁ。仕方がないわね…」


「いいの!?ありがと!…さ、オオカミ?明日の昼まで…ね?」


「わかってる。オレンジの心が済むまで…ね?」


「そうそう、オレンジ」


「ん?」


「今から明日の昼まで、修行はお休みだわ」


「え!?」


「休憩すると共に愛する者と、子供と一緒に幸せの時を過ごすといい」


「やたー!ありがとー!」


…あれ?さっき今日からまた本格的に修行を始めるって言わなかったっけ?

…まあいいや!今日は騒ぐぞー!

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