その男の目

深見萩緒

目〈自〉


「目が怖いんだよな」

 男は言った。

「大して珍しくもない恐怖症だろ? でも、鏡に映る自分の目すら怖いような気がして、もう一年以上も鏡を見ていないんだ」

 案外なんとかなるもんだよと、男は髪を撫でつけながら笑う。

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