第7話

頬を触られた千隼は、頬に手を添えて真っ赤になっていた。


何これ、何これ・・・・・と、半ばパニック状態である。



「千隼?顔赤いけど、大丈夫か?」



触れようとする康煕の手を逃れるように後退るが、思うように体が動かず後ろへ倒れそうになり彼の胸に抱き留められ、怪我をすることもなく難を逃れた。



「具合が悪いなら悪いと言わなきゃ駄目だろう?」



千隼の背中を撫でるとビクッと体を震わせた。


腕の中で震える千隼は、康煕を見上げどうしようもない熱に戸惑い掠れ声で「・・・た・・・す・・・け、て・・・」と、眼から透明な雫を零しながら口にした。



「千隼!大丈夫か!」



潤んだ瞳で見つめられた康煕は、千隼を怯えさせないように優しく優しく落ち着かせるように背中を撫でた。

だが、その行為も今の千隼には辛く小さく喘いでしまう。



「んっ・・・ふっ・・・ぅ・・・」


「千隼、大丈夫だ。すぐに治まる、俺がついてる(ん~、これって欲情してるんだよな。自分で抜くとか知らないんだろうなぁ。いろんな意味で疎いやつだし・・・)」



今の彼は召喚した『代償』という名の副作用で欲情しているのだが、当の本人は何故こんなふうになっているのか理解していない。

康煕は日常的に幼馴染である彼に欲情しており、何れは自分のモノにしようと密かに企んでいただけに要領よくきっちり経験済みである。


多分、いや、間違いなく千隼はそういう行為は未経験のはずだと思い行動に移すのだった。

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