第1話 異世界

 僕は目が覚めると、おかしな部屋にいた。部屋の中はガランとしていて、僕が寝ていたベッド以外、何も置かれてはいない。


 ただ、僕の手元にはあのマギアスの書だけがあった。

 

 僕は図書館にいたはずなのにいきなりこんなところにいるなんておかしいと思う。なので、ベッドから立ち上がると、フラフラと窓のある方に歩いて行った。

 

 すると、窓の外には見たこともない光景があった。明らかに僕が住んでいた町とは違う町があったのだ。

 

 こんな町は日本ですらありはしない。

 

 夢でも見ているのかと思い頬を抓ってみたけど普通に痛い。

 

 やっぱり、これは夢じゃない。

 

 僕は本当に異世界に来てしまったんだと思いながら、とりあえずこの建物から出ることにする。

 部屋を出て階段を下りて、更に進んで行くと出口があった。

 

 僕は建物の外に出ると、思わず感嘆した。

 

 大きな通りには、ファンタジーのような服を着た人たちが大勢、歩いていて、横手には店がずらりと並んでいた。

 道の中央には馬車や荷車も行き交っている。

 

 どう見ても現代の町ではない。

 

 ここは本当にファンタジーの世界だ。

 

 僕は自分がどこにいるのか分からなかったけど、とりあえず道なりに歩いてみる。すると、巨大な看板があるのを見つけた。

 

 そこには大きな町の地図があって、アルサントリア魔法王国の王都アルサスのことが書かれていた。


 確か、アルサスの地図ならマギアスの書にもあったな。しかも、マギアスの書の方が詳細に書かれていたはずだ。

 

 僕はマギアスの書にあった地図のページを開き、これを見ながら行けば迷うことはないと思う。

 

 そして、せっかく異世界に来たのなら思う存分、色々なところを見てやろうと意気込んだ。

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