待機

侵入者が体育館に入ってこない。

入り口の扉だけをナナミは見つめていた。

これがホラー映画とかだったら安心した瞬間に背後に・・・という流れであろうが、ゲームの世界なのでそういった未知の恐怖とは違う。

ガチの人間が来る恐怖というやつだ。

スタート時に写真で見た、紙袋の中に拷問器具入れて、手には巨大なナタを持ったヤバイ男が。


6ターン目が開始して、無事に自分の順番が来ることだけを願っていたナナミの元にメインコンピュータからのお知らせが入った。


「侵入者が移動しないという特技を使用しました」


どういうこと?

待つことによって次に私たちが移動する部屋が隣になって、7ターン目で襲いかかるということだろうか。

これでは進むことが出来ない。

いや、それすらも作戦で生徒に後ろに下がらせようという魂胆で待機をするということをしてきたのかもしれない。

侵入者の撹乱させるための作戦にみんなが動揺した。

戻らせようとしているのか。

進んだところを狙っているのか。


ただ、こちらにもチャンスは残っていた。

ユアの『侵入者が指定した生徒から何部屋離れているか分かる』という特技が6ターンで使えるようになったのだ。

これで上手く居場所をつかむ事が出来れば、侵入者の考えも見えてくるはずだ。

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