転移転生戦乱?物語

クロロロ

第1話転生は突然に

自分がどうしてここにいるのか、よくわからなくなっていた。手には銃を持って同じ人間を殺して周ってる。今いるのはどの国だったか。

友人知人も、何人も死んでいった。昨日仲良くなった奴は今日はもういなかった。俺の家族も空襲でもういない。何でこんな時代に生まれちゃったのかな。物心ついた時にはまだ平和だったのに。そんなことを考えながら、次の作戦の為に森を二個部隊にわかれ移動していた。先頭部隊の方で大きな爆発が起こる。全体が一気に警戒態勢になり、周囲を見やる。が、地面から熱量を感じた。やばいと思った時には大きな音と共に視界が回転し意識もなくなった。



目が覚めた時、森の中にいた。木の下で座っていた。雨が降っている。俺はどうなったんだ?

視界に違和感を覚えた。右目が見えない。感覚はある。恐る恐る右目にふれてみると、黒い革製の眼帯をつけているようだ。ずらして、右目を開いてみる。すると見えたのだが、自分が見ていた世界が急に広がり、何が何だがわかない。怖くなり目を瞑り眼帯をし直す。眼帯越しだと開いても平気なようだ。今のはなんだったのか?考えてもわからない。取り敢えず、他に怪我がないか調べた。大丈夫のようだ。ただ何か変だ。あの爆発で平気だったのか?疑問が増える。


周りを見渡す。起き上がり、所持している物を確認しようとしたが、目線がおかしい。木々たちがやたら高い。そして、さっき身体を見たときの違和感に気がつく。下を見れば見るからに子供の大きさの足が見える。俺の足だよな?手も体も見るが俺の体だ。ただ、大きさが子供だ。だいたい7歳ぐらいだろうか?

因みに服装も違う。上下黒一色で、靴も革製の普通の靴だ。使い慣れた軍隊の普及されてる物ではない。そして、腰には刀が添えられてる。状況が全く呑み込む事はできないが、とりあえず子供になっちまって、雨の中森で一人きりだとはわかる。狂いそうになる頭を首を振って押さえ込む。狂って死んだんじゃ洒落にならん。そもそもこの状況で何か獣にでも出会えばやばい。


刀を抜いてみる。漆黒の刀だ。ただ刀の樋の端、鎬とよばれる所だけ紫に光っている。の部分には楕円型の細いクリスタルが埋め込まれている。普通の刀ではない。持った瞬間に右目に力が入り、体全体に力が湧くのを感じる。ん?犬歯に違和感がある。舌で確認したが、上顎の犬歯が伸びている。そして刀を抜いただけなのに体に疲労感を感じた。微々たるものだが、使うタイミングは大事だなと思う。まるでゲームみたいだ。戦争が始まってから無縁だった懐かしい記憶を思い出す。刀を仕まい、体つきを確認する。子供にしては中々の筋肉だ。先程の力があれば何とかなるかと安心した。


これからどうしたものか、周りを見渡すも木々が続いてるだけ。やはりさっきいた森とは違う気がする。ひとまず、木の周りを見渡し苔を見る。何本か葉のつき具合を見る。そして、近くの一番小さい木の前に立ち刀を抜いて力いっぱい横に振り抜いた。刃こぼれもまるでない。すぐ様刀を仕まう。ヤバイな!斬れ味半端ねー。木はそのまま何もなかったように立ったままだ。そっと押してみる。ゆっくりと斬ったところから倒れた。年輪を見る。今立っている場所から左側に斜面が上がっていくようだが、だいぶ緩やかに上がってる程度だろう。右側側が下りになる。何となくこの辺の地形を予測する。下る方がアンパイだと判断する。雨に打たれながら、決めた方角に雨宿り場を探して歩き出した。それにしても、いつから雨が降り始めたのかわからないが、全然寒さを感じない。息を吐けば白くはなる。それなりに気温は低いはずだ。服がいいのか?俺の身体が変なのか?理屈はわからないが平気だ。


どれだけ歩いたか、多少の疲労を感じながら意外に体力もある事に安堵する。未だに森は続いている。途中、見知らぬ犬のような生き物に襲われたが、問題なく対処できた。刀を使うのは初めてだったが意外にも使いこなせた。木の種類もいくつか知っているが、見知らぬ木々ばかりで、ここが地球じゃないんじゃないかと、妄想真っ最中だ。光る刀。見知らぬ生き物達。自身とは違う体。俺はあの時に死んで、この体になった?転生した?ってとこかな。


周りに気をつけながら自分の考えが意外と的は外してないかと思う。そろそろ腹も減ってきた。途中幼木を見つけ、しゃぶってたがそろそろ限界だ。このままでは拉致があかない。気がついた時、右目を開いたら周りの見え方が変わった。もしかしたら何かわかるかもしれない。

雨宿りできそうな木の下に来て座る。少しでも体力をとられないためだ。


意を決して眼帯を外し右目を開く。視点が合わない。落ち着け。落ち着け。ゆっくりと、合わせていく。自分を中心に円形に半径5メータ程の風景の情報が頭に流れ込んでくる。周囲を狭めてみる。少し体力が減るのが楽になった。俺自身も見れる、というより頭に情報が一瞬で入ってくる感じだ。その情報の中に俺含め、何本かの木に血液みたいにはぐり召され黄色に光ってるのが見える。木に比べると、俺のは線が太いし、本数も全然違う。

今度はどんどん広げていく。半径50くらいだろうか、その域までくると目に痛みが走る。ただ近くに洞窟を見つけた。中には何か獣がいるようだ。その獣には光る線はない。岩の中もわかるようだ。便利だと思いながら目を瞑る。流石に疲れたな。荒くなった息を整えつつ、しばらくその場で休んだ。最初から使ってたら無駄がなかったなと後悔したが、まあ今更だ。


そろそろいいかと、立ち上がる。念のため再度、右目を使って洞窟の場所と獣を確認する。さっきと変わってないな。右目をしまい洞窟へと向かった。

近くまでくると、眼帯を外し、洞窟の中の獣が入る範囲まで狭める。獣は結構大きいな。熊のようなシルエットだ。相手はもう俺の存在を認識しているようだ。出入り口に向かって警戒態勢をとっている。


出入り口前に来た。雨で視界は悪い。洞窟の中も暗くて何も見えない。あくまで、左目で見ただけではそう見えるのだろう。この右目は便利だ。頭に直で情報が入るから左目で見えている情報と重なる様に見える。左目の邪魔にはならない。ゆっくり相手との距離を縮める。洞窟は天井が3メートル弱、奥は右目によると結構深くまで続いている。こいつ以外の生き物の気配はない。


ある程度距離を縮めた所で、熊らしき生き物は起き上がり、自分を大きく見せた。このタイミングで、低姿勢をとり一気に加速して相手の懐目掛けて突っ込む。熊?は左手を振りかざし俺を仕留めようとしてくる。すぐさまバックステップの要領で攻撃を避けるギリギリまで下がる。すぐさま、刀を抜き、力がみなぎる。下がった脚に力を溜めて、熊に向けてジャンプした。その勢いで、熊?の脳髄めがけ刀を上から突き刺す。まったく反応できず、振りかざした体勢のまま熊は動かなくなる。生暖かいものが俺に粘りつく前に、距離を取る。悲鳴を出す暇も与えず絶命させた。


子供なのに、よく動く身体に満足しつつ、刀の血を拭おうとした時に刀に異変が起きた。波紋が赤く光だし、ついた血が紫の線に沿って動き始め、ツバの部分にあるクリスタルに吸収され、紫で光っていたのが赤い光に変わっていく。刀が血を吸っているみたいだ。ますますゲームみたいだと思う。


試しにクマに刀を突き刺す。刀から血を吸い上げていく感覚が手に伝わる。あまりいいものじゃない。しばらくして治まった。不思議とその間は疲労することはなかった。刀をしまい、こいつをどう食うのか悩む。火薬もない。外は雨だ。洞窟内を少し見て回ったが、そもそも湿気があるせいで、乾いた木を見つけられなかった。


手から火が出せたりして‥‥。まあーないか。流石に。でもなー。ひとまず、手をお茶碗を持つ様な形で前に出し、酸素に火をつけるイメージをしてみる。なんて言おう?


「ファイア!!」


俺の声が響く。更に洞窟で、児玉の様に返ってくる。んー‥‥‥‥何も起きない。恥ずい。恥ずかしすぎる。誰もいなくてよかったー!!

気を取り直して、今度は体から出る何かを燃やす様なイメージ。んームズイな。‥‥‥何かってなんだ?

ダメだ。余計なことは考えない。考えない。一度深呼吸をして、イメージし直す。


「ファイア」


ポッ!!


「お?」


なんとも可愛らしい小さな火が掌の中心にできた。


「おーできたよ!!できたよ!!!マジかー。やってみるもんだな。」


火が消える。


あれ?気をそらすとダメなのかな?


とりあえず、熊(もう熊でいいっしょ!)の前まで行き、再度やる。


ポッ!


まあ、まあ、まあ最初だからね。とりあえず、これに少しずつ燃料を足す感じに‥‥


ボッン!!ボボボ!!


「ええ感じやん!!次!」

そっとクマに近づける。出来るかな?クマの表面を焼くイメージで火に燃料を足していく。

ボボボボボボッボボボ


「おーできた!できた!けど、やべー。死ぬ!!」


勢いよく燃え広がったは良かったが、ものすごい煙で周囲が見えなくなった。涙目になりながら、急いで外に逃げた。右目様様だ‥‥。ここが洞窟なんだから、そりゃあ、一酸化中毒なりそうになるよね。なんとか、外まで逃げれたからよかったけど、危なかったー。とりあえず火はついてんだろう。消えるまで待とう。雨降ってるけど‥‥。


んー、焦げてないかな?洞窟からは未だに煙が出てきている。近くの木の下でひたすら待つ。待つしかできない。ん?なんかいい匂いに変わったな。消しに行きたい。水?間違えたら食べれなくなるよな。そっか!!右目!!!まずは確認だな。眼帯を外し、右目を開いた。んー形状的には毛は焼け落ちたのはわかる。わかるのはそのぐらい‥だな‥‥。よし、右目を開けたまま、今度は今降っている雨を手に集めるイメージ。


「ウォーター」


視界が歪んだ。堪らず膝をつき、急いで右目をつむり、眼帯をかける。手は握り締めて強制的にやめた。

やべー。やべー。一緒に使えないなこれ。頭ん中がくるくる回ってる状態。気持ちわりー。しばらく、その場で目を瞑ったまま、待つ。しばらくすると、だんだん意識が回復してきた。ゆっくり目を開く。危なかった。まだ違和感はあるが、まあ立てるな。 


あれ?洞窟。煙出て‥‥ないな。うん。行けそうだ。うん。なんか泣きたくなってきた。


口を塞ぎながら中に戻って行く。火は消えたが、やはり煙臭い。大丈夫そうだが、ここでは食べられない。ひとまず、片腕切り落として、熱いのを我慢しながら、洞窟入口まで戻った。右目は大丈夫そうだ。暗いから使わないと腕を切り落とすことすら困難。怖かったが問題なくできてよかった。


長かった。なんか、本当に長かった。むしゃぶる様に肉に食らいつく。ちょい臭みはあるが、やっと食べれる。


‥‥‥‥‥


あー食った。腕一本でそれなりにあったな。もう一本取って、後は保存できないから感謝を込めて火葬にしてあげよう。


近くの木に登り、仮眠を取る。気配を消す様に自分は空気と思いながら、


「ステルス!おースゲー!!!透明なってる。万能だな!!」


ひとまず寝ることにした。









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