第2話【合流】


 転生したようだ。

 俺は大草原の上で寝ていたみたいだ、起き上がると、白く細長い何かが目の端で捉えた、感覚からするに俺の髪の毛だ。

 だがしかし俺は髪を伸ばしてはいない短髪だ、触ってみると細長くサラサラで絹を触っている感覚にすら感じる。

 周りを見渡すと、俺の友達が居たがもう1人知らない奴も居てた、なんかサムライみたいのが。俺は友達の方を起こした。


「お~い起きてるか?」


 友達のほっぺをぺちぺちしていく、その時に声を発した。転生して初めて声を足してみたがまるで夏の風鈴の心地よい声だ。


「あら転生出来たのかなぁ?」


 やっぱり違和感があるが慣れた。こいつは高校1年生の時に仲良くなったお金持ちボンボンだ、がしかしこいつは俗に言うオネエって奴だ。だが男が好きな訳では無い。

 拗ねるとおっかない、そうると、っかない。それを知っている別の友人から面白半分で呼ばれているころからスネ夫と呼ばれ始めた。

 ちなみになぜなのかは、某ネコ型ロボットの方のスネ夫と同じように人脈もすごく、金もあるからだ。本名は【鈴木 ひろ


「やっぱり変わらないな」


「貴方は誰なの?案内役だったりする?」


 やっぱりこうなるのか、姿が変わったのかわかってもら得ていない。

 つうか、なんで案内役なんだよ。


「俺だよ俺、笠田かさだ 峰禹ふうわかった?なんかさぁ転生したらこうなったよ」


「驚いたわ、まさかあなたがこうなるとはねぇ」


「俺もだよ、最強の武道家にしてって書いたのにこれだよ」


 やはり、スネ夫も驚いたが、これはチート自動修正がかかったのでは?と思う。

 俺は生まれつき、小柄で貧弱だ。それ故に、強い男に憧れていた。

 演劇部でも小柄な役を回されることが多かった。シンデレラだったり、白雪姫だったり、竹取物語のかぐや姫だったりと、演劇の才能はあって、エースと呼ばれていた。しかし、俺は美女と野獣の野獣などのガタイのいいキャラをやりたかった。


「ねぇ、ふうちゃん口調変えたら、違和感あるわよ」


「そうか、でもこれスネ夫の言えた事じゃないと思うのだけど」


「まぁ、細かいことはワカチコワカチコよ」


「細かくないかもしれないけどいいや」


 でも、自分が出来ていないことは他人に押し付けるより、自分が先に治して言う、一応俺の流儀だ。

 昔から変な所で馬鹿に素直や、変な所で疑心暗鬼ぎしんあんきすぎるなど言われる、自覚はあるが直せそうにない。


「まぁ、俺が出来ないことをスネ夫には言えないな、口調を変えとくとするよ、ほんましゃあなしやで」


 演劇部の役作りみたいな感じで変えるか。

 カチャッと何かが変わった気がする。


「ありがとう、でもふうちゃんそこにいる素敵な男すぃは誰よ」


 サラッと轟ネタを入れてくるなぁ。

 正直、ホモにすら思えてくる。

 そういえばもう1人のともだち、かいがいない。


「さぁ、おr、私にも分からない、可能性で言えば海だけど」


 俺は役の切り替えが遅いタイプだが、切り替えはしっかりする、ただ遅いだけなのだ。

 て言うか、逆に海以外なの?とすら思う。姿は全く違うが、でもお、私も違っている、だか万が一に違う場合だって有る。


「まぁ、起こしてみるしかないわねぇ」


「うん」


 俺はいや私は恐る恐るThe侍みたいな男をゆさゆさと肩を揺らして起こす。


「うにゃ、あと5分でござる」


「ござる!?」


 私とスネ夫は時代劇にしか出てこないだろう、セリフに驚き、自然と声が合わさり出る。

 えぇー、この時代に自然とござるってありえない、てかうにゃって。これに愚別の意味は無い。談笑の過程で言うような口調だ。


「何かあったのでござるか?」


「何かって、あんたは時代劇の侍か!?」


 あっ、スネ夫とまたハモった。

 2人揃えて、海(?)にツッコむ。


「おぉースネ夫殿ではないか、して隣の│女子おなごはどちら様で?」


「ねぇ、スネ夫の知り合い?」


 海はござるなどは使わないから違うと思う。

 金持ちボンボンの知り合いならいそうと思った、が違うようだ。


「いや、あちしも知らない」


「貴方は誰よ?」


「拙者?拙者は山崎 海、スネ夫殿まさか拙者のこと忘れたか」


「海?!」


 私とスネ夫は息を自然と合わさり、海ということに驚く。

 本気でか?あの細くてガリの、まあ、私もだけど。

 海とは中学からの中で、お互いが自分の細っこい体格がコンプレックスで仲良くなった。

 しかし、あの海がこうなるとは、ガタイの良い体格だけは羨ましくなった。


「おぉー、拙者の願いどうり、漢気ある刀使いにして貰えた、じゃが、意識せずこざるになるのは困るでござるなぁ」


 30代前半の姿をした、海が自分の姿を見下ろして言う。髪は肩まで乗るが、前髪を分けていて、視界を確保している。175cmはあり、体型も男らしい。それでいて動くのに邪魔にならないような実に羨ましい体型である。

 そう言えば 、チートで姿が変わるとか何とか、まぁ、私もだけど。けどこの格差に疑いをかくしきれない。


「道理で」


 事実を軽く受け取る。

 3人、立ったまま、雑談を続けた。

 そして、時期を確認したように、会話音が聞こえた


[という事で3人揃ったようね]


「うわぁびっくりした」


 私の後ろから、声が聞こえ、驚きの余り、後ろへと尻もちをついて倒れる。

 その時、空に浮くモニターの中に、ルーミーさんがいた。


「拙者を転生してくれた女子おなごではないか」


 今頃だけど女子おなごって、随分と時代を感じさせる、てか私たちより年上で女子おなごって言えるのか?まぁそりゃその見た目だったら、あんたの方が年上には見えるけども。


「あちしも転生して貰えたわよ」


「me to」


 なぜか英語で答えた。

 だが結果として同じである。

 それに、何故ルーミーさんが出るのか分からない、多分だけど魔王を倒して欲しいとかかなぁと思う。


[皆さん私、案内役も務めていますルーミーです]


 案内役兼ねているんだ。スネ夫の感も珍しくズレることもあると知る。

 そしてルーミーさんが説明してくれていた。


[役目は特に有りませんがこの世界で生きてもらいます。そのためにもしっかり聴いてください。この世界で生きて行くためのスキルは付けています]


「あのースキルは何ですか?」


[質問は後に、ゴホン、大陸共通語の自動解析、一人5万ネリーの資金しきん供給きょうきゅう、衣服の供給きょうきゅう、保険に一度だけの蘇生そせい基礎きそステータス上昇、他の物等は異次元ポケットに閉まっておきますご自由に、基本的には冒険者になるとかですね。質問があればどうぞ]


 とことんやばいな、チートってこれと別なんだよね、結構待遇良いと思う。

 そして質問を聞くことにした。


「じゃ私から、スキルは何ですか」


[スキルとは、その名の通りです、例えば【ファイヤーボール】とかですよ]


 ルーミーさんがファイヤーボールと言った後、手の平から丸い火の玉が出てきて私たちは、「おぉーー」私たちはと驚きと感動を混ぜた声しか上げられなかった。

 マジシャンならできそうではある、だがそれはタネがあるからだ、モニター越しとはいえ、タネが分からなかった。


[ざっとこんなもんですよ]


 モニターの奥で調子にのり、鼻が長く見えるほどのドヤ顔になる。


「あちしからも5万ネリーはどんな感じなの」


[日本円で見れば500万ぐらいです。アメリカドルみたいな感じですね。他には何かありますか?]


 少し驚いだかそれぐらいはいると考えた。


「拙者から一つ、蘇生はその名の通り蘇生出来るのか」


[そうよ、1回死んでも生き返られる、他になんかあるの?]


 …………


「……」


 しばらくの会話のやり取りで、私たちは聞くことが無くなった。

 ルーミーさんからもさまざま情報を聞けた。


[何もないようですね。服装はこちらで着替えが出来ます。あっ、服は浄化と耐久が付いているので洗う必要も無いし頑丈ですよ]


 こちらって、何もないじゃないか、と言おうとしたその時ルーミーさんがバチッと指を鳴らした、幾何学模様きかがくもようの某魔法を使うライダーが変身する時みせるような魔法陣らしきものがのようで着替えられた。


「何これすごいって、うぁぁぁ!なんでだよ!何でチャイナドレスなんだよ!」


 裾は短い訳では無いが足は無防備にむき出し無駄に強調する、少し覗き込めば見えてもおかしくなかった、そのため、羞恥心が湧き出し裾を抑える。

 海がこちらを見て親指を立てて鼻血を流していた、恥ずかしくて軽く叩いたらをしたら海が2、3mぐらい吹き飛んだ。

 子どものような体でだい大人おとなの見た目の海をいとも容易く吹き飛ばしたことに驚きを隠せず、羞恥心そっちのけで叫ぶ。


「えっ……えぇぇぇーー!」


 私とスネ夫は非日常的なことを感じ、驚く

 そして吹き飛んで倒れている海のそばに駆けつけた。


「海! うぅ、ごめんそこまだ強くやったつもりないの、ごべんごべんなはい」


 涙目になって泣きそうになる。

 私はキャラになりきる時に、一時的に感情の変動が激しく、なってしばらくは情緒不安定になりやすかった。心では落ち着きを保てても身体が制御できなかった。


「ふうちゃん、気にしなくていのよ、あれ海がしでかしたことだからそう責任を感じなくていのよ」


 そう言ってスネ夫が手を差し伸べて私を慰めている。


[ステータスが上がっているからそれぐらいは出来るのよ]


 そこそこの大事おおごとに画面越しのルーミーさんは冷静に見ていた。

 確かに画面越しだから何かをすることは出来ないかもしれない、だけど服の事もあって出来てもおかしくない、そこで冷静でいることについて違和感を感じる。

 そしてこれからは力の加減に注意しよう、人に対してはと、そう心の中で決めた。


[あと、能力とか見れますよ、【オープンウィンドウ】で見れるから、あと【変身】で早着替えが出来るから他に分からないことがあれば自分たちで何とかしてくださいね、バイバイ]


 手を振ってテレビを切るように消えた。

 案内役にしては案外案内して貰えなかったと思う。でも敬語を話慣れないルーミーさんが丁寧に説明しようとする様子は見て取れる。


「あっ、行っちゃたわね」


 そんな、少し物足りないよう声をスネ夫が上げる。


「海、大丈夫?」


 そう心配して話しかけていく。


「ああ、とくに痛くないでござるよ」


 あれだけ吹き飛んだのに痛くないのか、ステータスアップ侮るなかれだな。


「どうするのよ?」


「あそこに見える街に参ろう、人にも会えると思う」


 そうめそめそしていられないし行きますか、そう思いながら涙を拭き街の方に歩き始めた。

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