第4話 明日の夜会

「明日...ですか? 」

「やっぱり、忘れていたのね。

言って良かったわ。だって、マリー本当に

楽しみにしてたもの」

「もう何年も会っていないものね。

ルーファス王子とは」


むむむ。


どうやらマリーは、

ルーファス王子の事が大好きで、

何度も婚約を申し込んでいたらしい。

そして何度も断られているようだ。


「お母さん物凄く応援しちゃう。

だから明日は朝から頑張らなきゃね」


記憶が入ってきたばかりなのに

不安を隠せず、


「お母様、明日は絶対出席しなくては

ダメなのですか? 」

「何を言っているの。

こんなチャンスないのよ。

明日は、花嫁候補を探す日なのよ」


まじですか...


婚約の申し出、何回も断られているし、

手紙出しても返事来ないし、

......なんか思い出して

ムカムカしてきた。


王子とか言っても酷くない?

いくら好きでもない相手だからって、

完全シカトですよ。

「第一王子かなんかしらんけどさ。

そんな男、こっちからお断りですわ」


わっはっは。


「マリー、よく頑張った。グッジョブ。

これからは、自由にやらせてもらうよ」


「マリー? 怒った顔したり、笑いだしたり。やっぱり、何かおかしいですわよ。

ホントにマリーなの?」


ヤバい、ヤバい。バレちゃう。バレちゃう。


「おほほほ。なんでもございませんわ。

明日が楽しみになってきてしまって」

「さすがっ、私のマリー。

明日に備えて今日は安静にしているのよ」

「はいっ、お母様」

母が楽しそうに、部屋から出ていった。


「ふーっ。危なかった。

ホント母って甘いわ」


なんとか記憶も戻って、

マナーも分かるし、それにルーファス王子

の顔、拝んでやろうじゃないの。

最後に会ったのは5、6年前か。

確かに可愛らしい顔してたわ。


「男は、顔じゃないっ! ハートよ。

ハート」


よく美香から、

「なんか、まりって古くさいよね。

でも、まりが男だったらな~」

なんて言われてたっけ。

少し、しんみりしたけど、


「くよくよしても、しょうがない。

明日までに、色々と情報あつめなきゃ」

切り替えも早く、男前なのであった。


「なんか、結構楽しみになってきちゃった。

明日はお祭りみたいなもんだよね

それに異世界の料理なんて、楽しみ!

王家だもんね」


とりあえず、王子に挨拶して、後は隅の方で

食べまくってればいいか!


そうと決まれば、早速、本でも読みますか。

本を手にとる。


トントントントン。


「マリーお嬢様、お夕食お持ち致しました」

リリアンが夕食を運んできたようだ。


「リリアン。わざわざ、ありがとう」


「..................まっマリー様? 」


はい。本日2回目~。

全くどんだけなのよ。

流石に泣かないだけいいか。


「リリアン。いつもありがとう。

これからも、宜しくお願いしますね」


「················私、マリーお嬢様に

一生お仕えします!! 」


ひぇ~~。

これからは、使用人達にも態度改めないとね。


美味しいご飯を食べ、満足し、

「今日は疲れたから、もう寝よっと。

明日の事は明日考えよーっと」


なんとも楽観的な、まりであった。

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