第2話 パートナーとの最強の寝方はこれだ!


 ベッド文化。アメリカではどこに行ってもベッドです。それも極大の。ベッドと聞くと何故だか一抹のエッチなムードをかぎ取ってしまうのはさがなのでしょうか、僕のしょうなのでしょうか。しょうでないことを祈ります。

 

 話を戻しますが、普通のホテルのシングル部屋ならキングベッドが普通。一泊30ドル台のモーテルでさえ、クイーンベッド×2以下の部屋を見たことがありません。(二段ベッドのホステルとかは別です)

 でも、やっぱり誰かと寝ることが想定されているんですよ。クイーン×2の部屋は4人で泊まれる部屋ですし、1つのベッドを2人で使う前提で最大収容人数を算出しています。

 

「僕もいつかは誰かと一緒に寝るのかな」

 そんなことをキングベッドの上で考えます。


 すると、気になるのはやっぱり2人の寝相じゃないですか。抱き合ったり、腕枕したり、後ろから抱きしめたり……と様々なパターンが考えられます。(※1)

 

 が! その中で最強の寝相は「背中合わせ」だと僕は主張したいのです。


「えー、背中合わせって何か冷たくない? 相手の顔が見たいな」という人も少し聞いて下さい。明確な根拠がありますから。


 背中合わせの何が良いか――ずばり「安心感」です。


 背中は自分では見ることの出来ない無防備な部位。背中を見せることは弱点を晒すに等しく、一部の肉食動物は本能的に背中を見せる動物を狩りの対象(=弱者)と認識します。「背中の傷は剣士の恥」とワンピースのゾロが格好良く言ったように、人間でも背中を見せることは弱さの証、逃げることに他なりません。


 背中合わせはその弱点を消すのです。


 小説や漫画でもそうですね。

 敵に囲まれ絶体絶命のピンチ。ここまでか――と思われた瞬間、敵の一団が吹き飛び、颯爽と現れるかつてのライバル。


「こんなとこで、なに手こずってんだよ」

「馬鹿を言え。楽勝だ」


 あぁー、展開は分かってるのに!! このアツさ、この安心感。


 分かりますか。背中合わせとはまさに攻防一体。二人の関係の強さを示す素晴らしいフォーメーションなのです。


 背中は起きていても弱点なのですから、動物が一番無防備になる就寝中は言わずもがな。しかし、背中合わせだと不意に敵に襲われても大丈夫です。


 これが抱き合っていたりしたら大変ですよ。弱点を晒してしまっているのですからね。

「お前……起きていたのか……」

 と、パートナーの脇腹から服を突き破って、得物ナイフが敵のはらわたに突き刺さっているパターンもありますが、余程の手練れじゃないと難しいと思われます。


 その点、背中合わせは攻撃も防御も自由自在。油断を誘うのでなく、隙を見せずに相手に攻めあぐねさせる寝相です。これぞ補完効果、相乗作用の賜物。一番バランスが取れていて、全ての寝相の中で最強の寝相だと確信しています。


 しかし、皆さんお気付きでしょうか。背中合わせの欠点を。

 そうですよね。やっぱりその意見が出てくると思っていました。


「上からの攻撃にどう対処するのか」


 この問題は避けて通れません。

「お互いが寄りかかって斜めになり90度ずつ対応する」

「天蓋を設ける」

「利き手が上にある側が対処する」

「二人の間に対空罠をしかける」

 などの解決法があると思いますが、どれも追加コストがかかります。


 そこで、もっと単純に、上向きで寝る人を入れたら一分の隙もないのではないかと考えます。左右に加えて、上への役割分担。強固な守りの完成です。


 改めて、立ち戻りますが、同じベットの上でのパートナー(+α)との最強の寝相は背中合わせ。それは一分の隙もない「安心感」を生み、深い眠りを皆にもたらすのです。



 


 


 ……恋愛に隙は必要だと言いますが、こんなことを主張しているから僕はパートナーが見つからないのでしょうか。

 

 ちなみに、かつて福岡の街コンに友達と参加した時、何があっても良いように泊まる場所を予約しないという背水の陣を敷きました。結果、あえなく夜のビジネスホテルに飛び込み、頼み込んでシングルの部屋に2人で入れてもらいました。街コンで心は冷えましたが、友達の背中はほんのり暖かかったです。





 ※1 寝相と深層心理の関係は研究されています。参考にどうぞ。

 TABI LABO

 カップルのための「寝相診断10選」。足を絡ませて寝るタイプは…(2015/08/03)

 https://tabi-labo.com/163318/way-sleep

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