まるで巨大な万華鏡を覗いているかのような感覚

海の物語。海の中の星と、星間をゆく潜水艦と、海底の映画館と、姉と人魚のお話。
眩暈がしそうになるほどの壮大な幻想。フラクタル図形のように繰り返す海中の光景は、ただただ圧倒的というより他にありません。
とにかく、果てしない。底が知れない。無限の広がりを思わせるような、有無を言わせぬ迫力がありました。
星詠みや時孕みといった造語と、映画館や潜水艦などのそうでない名詞の、そのバランスと選択が好きです。うまく言葉に表せない、鮮烈な個性の美しさが光る作品でした。