06 魔族側の言い分を知った時



 で、それからちょっと時間が飛ぶ。

 その間にも色々あったけど、似たような事とか小さな事だったので割愛。


 事が起きたのは、勇者と一か月行動を共にした時の事。

 つまり最近の事だ。


 とらわれていた仲間の人質を救出した時の事(魔族、人質好きだな)。


 逆に魔族を人質にしてやり返した時、魔族側の言い分を知る事になった。


 人類に牙をむく彼らは、遥か数百年前には逆に人から虐げられる存在だった。


 その時の恨みと恐怖を覚えていた彼らが、今やり返しているのだと言う。


 その事実を知った人類軍は混乱した。


 けれど、我らが勇者は「問題ない、やられた分だけやり返せば終わる話だ」と。


 それじゃ、同じ事の繰り返しになるでしょうが。


 勇者に求められる思慮深さとか、先を見る能力どこに落としてきたんですか。


「あー、勇者様。そう簡単にはいきませんよ。つーか、いかねーだろ、このポンコツ見かけ倒し」


 俺はやむなく、ハリセンで勇者の頭をはたきながら、口を挟む事にした。


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