第17話 初の映画撮影とメイキング

 8月中旬、ピンキーダイナマイトは久しぶりに明日香が、学校近くのファミレスにメンバーを集結させていた。何でも夏にやりたかった事があるらしいと奈緒達は聞いていた。


 明日香「皆、こっちよ。こっち来て」

 奈緒「久しぶりにあったらメイク変わったなぁ~明日香」

 明日香「あら、あなたにもそんな繊細な違い見抜く目あるのね」

 沙也香「やけに可愛いメイクしてるじゃん」

 ささもっちゃん「少し沙也香さん日に焼けましたね」

 友子「友子も日に焼けた」

 まゆみ「UVカットは大事ですよ」


 其々に過ごしていた時間もあったので近況で談笑していると、明日香が口を開いた。


 明日香「今日集まってもらったのは、あなた達と夏休み中にやっておきたかった事があったのよ」

 沙也香「何よ。やっておきたかった事って」

 奈緒「何だと思う?ささもっちゃん」

 ささもっちゃん「ミヤマクワガタを捕まえよう♪」

 奈緒「友子は?」

 友子「おんぶバッタのオスを捕まえよう」

 まゆみ「上に乗ってる方でしょ。もう~。奈緒ちゃん先輩は?」

 奈緒「JKに大人気ユニコーンおじさんの乱獲」

 明日香「アホなの。真面目に聞きなさいよ」

 沙也香「うどんそばらーめんのアメリカ食い」

 明日香「沙也香、しっかりしてあなたが頼りだわ。夏だからなの?」

 沙也香「ちょっと乗っただけだよ」


 悪ふざけを仕切りなおして明日香は言った。


 明日香「単刀直入に言うけど、皆で映画を撮るわよ!!」

 一同「えぇ~!!」

 明日香「驚くのも無理はないけど、ピンキーの新しいコンテンツを探してたし、SNS上でもそういう声を聞いたのでやる事は決定事項だから」

 沙也香「相変わらず突っ走る奴だな明日香は。で、何のジャンルよ」

 明日香「そんなの恋愛モノに決まっているじゃないのよ」

 ささもっちゃん「アイドルは恋愛は駄目ですよ」

 友子「友子もそう思うよ。こう見えても操は守り抜く獰猛なモンスターから」

 明日香「じゃあバクダットで独りで撮ってきなさい」

 奈緒「私は戦隊モノがいい」

 明日香「ハイ却下。話にならない」

 奈緒「戦隊モノ」

 明日香「何甘えてんのよ気持ち悪いわね」

 ささもっちゃん「ささもっちゃんも戦隊モノがいいですぅ~!」

 友子「友子も!」

 沙也香「奈緒ちゃん達また良からぬ事を考えてない?正直に言え、このこのぉ~」

 奈緒「はんにもはんがえちぇおりましぇん」

 明日香「何語喋ってんのよ、あんたは。いい?恋愛モノで行くわよ」


 明日香と沙也香は爽やかな恋愛モノ、奈緒達アホの三連星はフェチな戦隊モノが良いという意見に分かれた。最後に残ったまゆみの意見でどちらになるか決まる事となった。


 まゆみ「私は爽やかな恋愛モノがいいですけど、ファンの人を傷つけてしまいかねないのでフェチ戦隊モノがいいと思います」

 ささもっちゃん「よくぞ言ってくれました。まぁちょっとカマトト過ぎて吐き気がしますですが」

 奈緒「そうね。友子やりなさい」

 友子「はいな。まゆみいいぞぉ~ぐりぐり」

 まゆみ「やめてくらはい!ホントは恋愛の方がしたいのぉ~」


 まゆみが奈緒達の意見に乗ったことで、喧々諤々ではあったがフェチ系の戦隊モノを制作する事に決まった。その日はそれで解散し、後日明日香達は部隊を集めて撮影を行う事となった。監督兼演者の奈緒を中心に撮影していく事となった。この為に集めた部隊とは自分達の学校の映像研究部であり、全面協力を明日香が要請した。衣装は裁縫クラブに協力して貰って戦隊らしい服も仕上がった。変態怪人役や敵のエロ戦闘員役はエキストラとしてHPで募集いていたファンにお願いする形になった。そしていよいよ撮影が始まった。


 奈緒「それでは参りま~す。シーン01スタート!!はい、カット!まゆみちゃんもうちょっとお尻をクイってするように」

 まゆみ「これじゃまるで変態じゃないですかぁ~」

 奈緒「いいのいいのそれぐらいやらなきゃ昨今のアイドルには勝てないぞぉ」

 明日香「喰らいなさい!フェチズムローリングヒップ!ってこれ何なの?」

 奈緒「明日香隊員の変身後の必殺技じゃないか!!真剣にやれ」

 明日香「何よ、もう嫌」

 沙也香「ピンキーダイナマイトの沙也香隊員だ。エレクトコンプライアンスマン覚悟ぉ~って何と戦ってんの?私達」

 奈緒「沙也ちゃんは気にしない気にしない」

 友子「エレクトコンプライアンスマン、蔓延る女性蔑視許すまじぃ」

 ささもっちゃん「昇天するがいい!ささもっちゃんロリータフィストだぁ~」

 奈緒「いいよいいよ2人とも」


 こんな感じで撮影は無事終わり、後は映像編集をするだけに至った。明日香は録画した物を持ち帰り作品は誕生した。映画のタイトルも決まったのだった。後日、その完成した映画を見る為にまゆみ家に集まったメンバーは期待値もメンバー様々といった所だった。


 奈緒「それでは早速、タイトル発表したいと思います」

 ささもっちゃん「いいぞぉ~奈緒ちゃん監督ぅ~」

 友子「早く見たいねぇ!」

 奈緒「タイトルはズバリ、フェチっ子女神戦隊ピンキーダイナマイト~エレクトコンプライアンスマンの野望を阻止せよ~だぁ~」

 ささもっちゃん&友子「おぉ~凄い!」

 沙也香&まゆみ「……」

 明日香「頭痛いわ…。上映するの?」

 奈緒「見ましょう明日香さん!」


 こうして、作品を見る事になったメンバーはその世界観に感動または絶望するのであった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る