夜は短い、されど今宵も夜はやってくる(詩集)

伊勢祐里

1 夜は短い、されど今宵も夜はやってくる

夜は短い

行く末を知らぬがゆえに

暗がりを恐れるあまり

灯りさす通りを歩む者よ


夜は短い

酔いも知らず、愛も知らず

若さの無鉄砲さも知らぬ

生真面目な青年よ


夜は短い

敷妙に頭を据えれば

夜明けは呼ばれたようにやってくる

誰も通らぬ

暗がりの袋小路の先にだけ

ぼんやりと灯る提燈があるというのに


夜は短い、されど今宵も夜はやってくる

行く末の分からぬ憂懼と

夢を嘲笑う闇を引き連れて


若者よ、夜は短い

今しか成せぬことに

懸命になるというのは

馬鹿げたことではないはずだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る