オシャレに書きたい‼︎

 去年のことである。友人にとあるゲームの二次創作小説を見せたのだが、彼女は最初のページに書いてあるタイトルが読めないと言った。というのもその小説は私がノートに書いたのだが、タイトルだけは英語の筆記体で書いたのだ。この筆記体は悩みの一つを解消するために学んだものなのだが、まさか同い年の友人に読めないと言われるとは。

 話は私が高校生の頃に遡る。その頃の私は丸文字が書きたいと思っていた。というのも、私自身小学校の頃に一年だけ書道を習っていたのだが、それが理由なのか丸文字を他の子と同じように書くことは出来ず、「読みやすい字」ばかりを書いていた。中学に入っても治ることは無く、高校一年の頃には「みんな見習いなさいよ」と言われるレベルにまでなっていた。高校二年の頃に、漸く叔母にレクチャーして貰うことが出来たが、思うようにはいかず結局そのままになった。その後、偶然見せた手書き筆記体のサインが彼女の目に触れたことがきっかけで、「こんな才能が隠れていたの」と私はその字を褒められた。とても嬉しかったが、この時はまだ筆記体の技術が未熟で小文字を少し書けるレベルだった。

 漸く様になったのはつい最近のことである。フォントをネットや本で見つけて練習し、大文字までマスターした。まだ少し怪しいところは残っているが、それでも人に見せても恥ずかしくはなくなったし、サインのみならず文章まで書けるようになった。が、肝心の字そのものは筆記体を習った世代には読めるが、同級生には読めないとはっきり言われたのは正直ショックだった。一応この方法を逆手に取り、アルファベットで日記を付けるということも出来るが、字をオシャレに書きたいが為に独学で学んだにも拘らず、そういったことに使うのは気が引けるのだ。

 ちなみに、ここまで散々書いたが鏡文字はまだ書けない。というのも自分の絵の中に鏡文字を入れるのは少し前に始めたばかりだから。周囲から私の絵は謎だらけだとよく言われる。言い換えればそれは、受け手によって何とでも解釈できるということでもある。が、私の絵には確実に解が存在し、それを解かせるつもりは無い。と言いたいところだが、余りにも分かりにくいという声が出たので、少しだが難易度を緩和した。その際に使用したのが鏡文字である。元の詩は日本語。それをドイツ語の筆記体に直し、鏡文字で書く。が、全てという訳ではなくあくまで一部だけ。途中で切れていることもあるが、それでも何も書かれていない時に比べれば、僅かながら簡単になったと私は思う。

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