第51話 その後…


 テンダー会事務所で本革に椅子に座り込んでスマホをいじりながらゲームをポチポチしている腹黒タヌキが一匹。金田名誉教授だ。


そんなタヌキの休憩所に1人の男が入ってくる。

新海教授だった。だるそうな感じでロン毛の髪をいじっていた。

かつての八木教授と弟子を使って東大受験合格対決をしてた時のような目の妖艶な輝きは今は無く、ただ、無気力な顔だちになっていた。


新海教授「で。突然、呼び出して何のようですか?」


金田名誉教授「いやあ。最近の新海教授さあ。一言で言うと無気力感やばくない?鈴木くんを東大合格させてから、何も仕事の結果出してないし、給料泥棒状態よ」


新海教授「あー。そうすね。なんか、目標だった八木を叩き潰してからなんもやる気起きないんすよね。てか、あいつ、あの東大合格発表の日からまた、いなくなったんすよね。」


金田名誉教授「うん。連絡付かないんだよねー。新海教授がれ」


新海教授「しません!また、家に引きこもってんじゃないすか。」


金田名誉教授「会いにい」


新海教授「行きません!ただ、あいつはこんなんで終わるようには思えないですけどね」


金田名誉教授「おや?珍しい事言うね。なんで?」


新海教授「あいつとは、小学校の時からの腐れ縁ですし、こんなんでくたばって消えるんであれば、拍子抜けっすよ」


新海教授はそう言い残して、事務所を出ようとする。

その寂しげな背中に金田名誉教授は声を掛ける。


金田名誉教授「変わりましたね。新海教授」


新海教授「あいつを嫌いなのは変わらないですよ。ただ、あいつが俺にプライドをズタボロにされて完全にいなくなる事はないと断言しますよ。また、あいつは戻ってきますよ。じゃないと、また、あのプライドの塊を潰さないですからね」


新海教授の残したこの言葉の残り香を事務所にポツンと1人になった金田名誉教授はかいで、ポツリと一言呟く。


金田名誉教授「なんだかんだで八木教授の事大好きなんじゃん。」


金田名誉教授は、スマホの画面がゲームオーバーになっていた事にも気づかずに物思いにふけていた。


つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る