第33話 ドラマ『ドラゴン桜』新シーズン放送記念www


『ピン○ロ A○B』の店内に八木教授が入店すると、受付台にいた黒服が八木教授に問いかけた。


黒服「いらっしゃいませ。ご指名は?」


八木教授「いつもので」


きりっとした目つきで八木教授は答えた。


黒服「かしこまりました!いつもの桜愛(さくら)さんご指名の60分コースですね!ありがとうございます!」


八木教授「すまんが、今日はこのホームページに載っていた『ドキドキ!緊急事態宣言!あなたの元気玉が欲しいの♡期間限定ご新規様&リピーター様共通ネット割引!』って書いているこのネット割引は使えるか?」


黒服「ぜ…全部、割引名いう奴初めてみた・・・あ、はい!使えますよ!」


冷静な顔で淡々と話す八木教授の顔を見て、黒服は笑うのを必死にこらえながら仕切り直して答えた。


黒服に店内を案内されて、八木教授は個室に入った。


八木教授「さすがだな。実際のお店の内容とは違いますよアピールか・・・」


黒服「はい。全年齢対象の作品なので、そこら辺の配慮もばっちりです。」


八木教授「ふん。もし、俺が、ここで作品のレーティングをぶち上げる程の卍解してしまったらどうする?」


黒服「いや、これ、東大受験サクセス小説だよね?死神隊長とか出てくる小説じゃないからね?では、ごゆっくりどうぞ」


八木教授「強い言葉を吐くな。弱く見えるぞ?」


黒服は、八木教授の捨てセリフをシカトして去っていった。


個室で八木教授が待っていると、指名したピン○ロ嬢の桜愛が個室に入って来た。


容姿は金髪、ギャルメイクの桜愛は、八木教授の顔を見て高笑いした。


桜愛「八木教授この前ぶりじゃん(笑)てか、あの生放送観たよ!あの土下座マジで受けたんだけどwww」


八木教授「いや、あれだわ、、ほんと、クレーマーに土下座させられて、ツイ○ターに挙げられた某ファッションセンターの店員の気持ちが分かったわ・・・」


桜愛「あとあと、うちが提供した客の司会者いじりネタの『売れないグラドル、アイドルにマクラ営業…干すよ君が決め言葉…司会者…笑』無駄にブッ込んでてマジ卍だったんだけどwww」


八木教授「ああ。生放送前に、君の客に司会者がいると聞いて準備期間中に情報を仕込んでおいてよかった。意味はないけど楽しかった」


桜愛「まじ鬼畜じゃんw後、『A○Bは全員抱いた』ってあれ、うちの店の事言ってんでしょwwwぜんぜんそんな事しないで、無駄に60分コースで入って、話だけして帰るくせにwまじ、店に来なくてもラインで済むじゃんwww」


八木教授「元弟子の姿を定期的に確認しておかないとな。ちゃんと、あの時の宣言通りに、現役東大生ピン○ロ嬢として頑張ってる姿を見て安心したよ」


桜愛「でしょでしょwもっと、褒めてwでも、まあ、こんな風にどうしようもなかったうちが東大に合格して、今、こうやって現役東大生ピン○ロ嬢として頑張れてるのは八木教授とあの時出会ってたからなんだよ・・・」


八木教授「懐かしいな・・・」


八木教授と桜愛は、お互いに天井を見つめ、思い出に浸る。




・・・あの時の回想・・・


学校の体育館に集められた生徒達・・・


体育館の教壇に立つ校長が慌てながら、騒がしい生徒達に、静かにするように促しても、生徒達は誰も聞く耳を持たなかった。


その生徒達の集団の中には、桜愛もいた。


だるそうな姿勢でスマホをいじっていた桜愛。


周りにはバスケをして遊んでいる生徒達もいた。


そんな収まりが着かない光景の中、一人のヨレヨレの白衣を着た男が校長と入れ替わりで教壇に登った。


白衣を着て教壇に登った男、八木教授は、教壇のから、まとまりが付かない生徒達の光景を見渡して呆れていた。


八木教授「どいつもこいつもバカ面したバカばっかだな」


その言葉に騒ぎ立ててた生徒達が静まり返り、教壇に立つ八木教授に向けて一斉に、「なんだてめえ」「降りてこいや」「ぼこぼこにしてやる」などのブーイングが始まる。


八木教授は、一斉、ブーイングなど意にも返さず、言葉を続ける。


八木教授「てめえら全員、この先、偉い奴に騙されて、騙されている事にも気づかないで死んでいくんだ。悔しくないか?騙されたくなければ東大に入れ!!」


八木教授の大きな喝に、ブーイングをしていた生徒達は静まり返り、静粛が生まれた。


桜愛は、近くにいた、八木教授の喝で呆然としていた他の生徒から、バスケットボールを奪い、八木教授の教壇に向けて、全力で投げた。


全速投球されたバスケットボールは、教壇に立っていた八木教授の真横ギリギリを通り抜け、後方部にあった赤いカーテンにぶつかった。


自分の真横ギリギリを通り抜けたのにも関わらず、八木教授の表情は一切変わらずであった。


教壇に立つ、八木教授に向けて、桜愛は、怒りの感情をあらわにして叫んだ。


桜愛「東大東大うっせんだよ!てめえら大人に何が分かんだよ!」


その桜愛の言葉に問いかけるように八木教授は答えた。


八木教授「a○oのうっせえわ!のブームは過ぎてんぞ。それよりな。」


八木教授は一呼吸入れて、再び喝を入れる。


八木教授「バカとブスこそ東大に行け!!東大は簡単だ!!!」


その八木教授の衝撃的な発言に、体育館中の生徒、教員、校長が静まり返る中、桜愛のみは、教壇に立つ八木教授を生徒達の集団の中から睨みつけていた。


・・・あの時の回想終わり・・・



桜愛「本当にあの時の八木教授は今、思い返すと衝撃的だったなー」


八木教授「え?待って?ツッコミ役、誰もいないからツッコむけど絶対こんなんかっこいい感じじゃないからね?回想シーン無駄に長い割にねつ造ってか、パクリだからね?もろ、ドラ○ン桜の初代ドラマの1話だからね?ドラマ新シーズン始まったし、怒られるからね?」


にっこり笑顔で、八木教授を見た桜愛に反し、八木教授は真顔で言葉を返していた。


黒服「あの時のバスケットボール奪われた生徒は実は俺です!」


個室のドアを開けて、いきなり謎の暴露を放つ、黒服を、八木教授と桜愛は華麗にスルーする。


つづく





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