第31話 ふと飛び出すブラックジョークの謎の恐さは異常

テンダー会という組織上、八木教授や新海教授のような下っ端、中堅職員は、真田会長に会う事はおろか、顔すら知らない、名前も普段、会長としか呼ばれているのを聞いたことが無く、真田という名前である事も知る事は無い。


唯一、真田会長に会う事が出来て、名前を知る事が出来る立場は、テンダー会の組織上、金田名誉教授ぐらいであった。


新海教授は、初めて真田会長と対面し、衝撃が走る。


新海教授「え?え?あ、あ、あなたが、真田会長、、、ですか?」


真田会長「うん。」


新海教授は、真田会長にひざまづく。

そんな見た事無い師匠の姿を見た鈴木は、反射的に新海教授と同じく真田会長にひざまづいた。


新海教授「お久しぶりです!あなた様に助けられた恩を忘れた事ありません!あの時に言われた約束通り、めちゃくちゃ勉強頑張って東大合格しました!お会い出来て光栄です!」


真剣に思いを伝える新海教授に対して、真田会長は、自分の顎に触りながら思い出そうとする顔をしていた。


真田会長「いやー。あの時から比べたら見違えるように変わったね。お前のような戯言をほざいてるやつを見ると、あの糞野郎を思い出してムカつく。そんなくだらない戯言ごっこなど辞めて、まじめに働き先を探したらどうだ。だっけ?ご老人には優しくね」


新海教授は、突然の真田会長の発言に、鳩が豆鉄砲食らったような顔をする。


その2人のやり取りの光景を見て、金田名誉教授は、ニヤニヤしている。


新海教授「え?まさか、あの時の…ご無礼な事をしてしまい大変申し訳ございません!」


新海教授は、強く額を床に叩きつけ、真田会長に謝った。


真田会長「いや。私もそんなに根に持つタイプじゃないからね。気にしなくていいよ。だけど、何故か最近、物覚えが良くて中々忘れられないんだよね〜」


真田会長は、ニヤニヤしながら新海教授に言った。

その真田会長の発言を聞いて、金田名誉教授はボソッと呟く。


金田名誉教授「めちゃくちゃ根に持ってんじゃん…」


新海教授は、あの時の無礼発言により、最底辺までに下がり切ったマイナス評価の巻き返しを図るため真田会長に再び熱いメッセージを伝える。


新海教授「断言させていただきます!絶対にこの弟子の鈴木を東大合格させてみせます!」


鈴木はそんな師匠の熱いメッセージを聞き、答える。


鈴木「会長!絶対に新海師匠の指導の元に東大合格をしてみせますのでよろしくお願いします!」


真田会長は、2人の真剣な姿を受け、それに答える。


真田会長「結果が全てだ!東大合格してから再び、俺に伝えに来い!」


新海教授・鈴木「はい!!」


真田会長「ところで、生放送で対決して負けた八木教授と田中くんの事は何か知ってるかね?金田名誉教授が八木教授と連絡取れなくなってしまったみたいなんだが」


八木教授というフレーズを聞き、ピクンと反応した新海教授は、立ち上がり、真田会長に真剣な顔で伝える。


新海教授「あいつのプライドは私が完全に叩き潰しました!もう、私達、いや、テンダー会おろか、世間にも姿は見せる事はないでしょう!」


真田会長はニヤリと笑う。


真田会長「断言出来るか?」


新海教授「断言します!」


真田会長「そうか。分かった。」


新海教授「お久しぶりにお会いいただき本当にありがとうございました!今度は、鈴木の東大合格報告の際に、お会いするお時間を作っていただけたら幸いです!よろしくお願い致します!」


新海教授は、真田会長に会釈をし、部屋を出る間際に鈴木と一緒に真田会長と金田名誉教授に会釈をし、部屋を足早に後にした。


部屋に2人きりになった真田会長と金田名誉教授は、話始めた。


金田名誉教授「最高の恩を持つ真田会長にまで噛み付くとは。本当に嫌いなんですね。新海教授は八木教授の事を。」


真田会長「いや、似た物同士だよ。2人は」


金田名誉教授「へ?何故です?」


真田会長「新海教授は、子供の時にあった時は、存在すら許されてなかったけど、今は、認めてもらおうと全力になってる。八木教授は、子供の時は、認めてもらおうと全力だったけど、今は存在すら許されてない。」


金田名誉教授「あー。言われてみるとなんか真逆だけど似てますね。2人とも。そう言えば、新海教授が噛み付いて来た時に、八木教授は会長の本当の息子だって言わなくてよかったんですか?それ聞いたら態度一変してたかもですよ」


真田会長「本当に君はブラックジョークが過ぎるな。それは、禁じ手さ。20年の歳月を経て、2人ともそれぞれ独立して対立している。そして、そんな最高の光景を私の感情で壊せないさ」


金田名誉教授「そもそも、八木教授は連絡取れなくて、リタイアしてるみたいなもんじゃないですか」


真田会長「リタイアか…八木教授、いや、博隆は必ず戻ってくるさ。金田名誉教授もそう思っているんだろう?」


金田名誉教授「いやはや、本当にすごい推測力でたまげましたわ。まあ、私は、誕生日の時にお父さんにキレられて、前回の東大受験合格プロジェクトを失敗しても、何度も何度も立ち上がってくる八木教授はまた、戻ってくると信じたいですけどね」


真田会長「ふふ。本当に君は相変わらず嫌な所を突いてくるね。私も同じ気持ちだ。博隆は、三度這い上がって、新海教授とぶつかってくれると信じてる。本当に、20年の歳月をかけてこんな機会を作ってくれた上妻に感謝だな」


真田会長のニヤニヤ笑ってる姿を見て、金田名誉教授は冷や汗をかいた。


金田名誉教授「冗談か本気か分からないですよ真田会長。相変わらず、あなたこそ本当にブラックジョークが過ぎますよ」


つづく

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