7. 準備

 スズの患った病、おそらく肺炎、もしかすると結核、を治療できる医療技術も魔法もこの世界にはないということで、元の世界に帰れる目処は相変わらず立たず、それならばタクミは自分自身で治療のための抗生物質を精製することにした。といっても、それはお料理やお菓子作りのような簡単なものではないし、ましてゲームのようにお鍋に材料を放り込んでかき混ぜてできるようなものではない。学校の理科の実験実習でやったことがあるなんて人はいないだろうし、趣味人向けの工作キットが売られていたりもしない。抗生物質を精製するためには、まずその抗生物質を生産する細菌を培養し、必要であればその細菌を破壊して内容物を抽出し、さらに抗生物質とそれ以外の不要物とを分離しなければならない。そのためには他の菌を混入させずに目的の菌だけを培養できる施設、抗生物質を変性させずに菌を破壊するための装置、不要物を取り除くためのフィルターや溶媒抽出のための容器と試薬、クロマトグラフィーを行うカラムが欲しいし、蒸留機や冷凍庫、超遠心機、ボルテックス、各種顕微鏡、質量分析器、分光光度計などもあれば有難い。もちろんそれらのガチの実験機器は物によってはお車やお家に匹敵するお値段がするし、そもそも彼らの今いるこの世界にはそんなもの存在しないのだ。

 しからば、素材集め、道具作りから始めなければいけない。もちろん植物の栽培や天然資源の採掘、金属の精錬などを全部自前でやるというわけではなく、この世界で利用できるものはできるだけ利用するし、鍛冶屋やその他の職人に頼れる部分は頼ることになる。さて、ではこの世界で調達可能なものでかつ抗生物質を精製するのに十分な器具材料施設はどのようなものだろうか。ガラス容器やガラス皿、簡単なガラス細工なら手に入りそうだし、簡単な金物や陶器もある。樹脂やプラスチックの類はあるだろうか。乱暴な言い方をすれば、計量して、混ぜて、加熱して、冷却して、貯蔵することができれば大体のことができる。電圧をかけることは、発電機を作り電源を作ることはできるだろうか。準備にばかり時間をかけて抗生物質の精製を先送りにしていてはスズの症状が進行して取り返しのつかないことになってしまうかもしれない。できるだけ効率的にことを運ばなければならない。もちろんタクミは少女の治療を実現するつもりで考えていた。けれどもそれはやり、恐怖に駆られて何かせずにはいられなかっただけなのかもしれない。


 少女の寝室にノックして入り、おはようを言って気分を尋ねた。応えは昨日と同じで、見た目にもこれといった変化はなく、症状が悪化しているということはないが回復の兆しも見えない。初めのうちこそ脈を取るだとかおでこに手を当てて熱を測るだとかにもどぎまぎしていたが、すぐに慣れて、最近ではなぜか他のスキンシップも増えて、以前では互いの髪を洗うのを手伝うときに水差しでお湯を注ぐだけだったのが、今では普通に洗ってあげたりしている。流石にそれ以上のことはないが。必要以上に近づきすぎると感染のリスクが高まるかもしれないが、それよりも少女の精神の安定が優先された。

 この世界に来てからおよそ80日、少女が体調を崩してから15日が過ぎた。あれこれ聞いて回って調べて回って、少女が疾患した、おそらく肺炎、を治す手段がないことがわかった。彼らが元の世界に帰るにはある特別な魔法の道具が必要とのことで、そしてそのアイテムを持って逃げた男を追って旅立ったメグ・イシアンからの連絡はない。

 朝食を下げるとき、女中のメーイが花壇のヒヤシンス(によく似た花)が咲いたこと、部屋の窓からでも見えること、あとでいくつか摘んでくるという話をした。

「気分が沈むと病気の治りも遅くなりますからね。私も子供が具合を悪くすると特別に蜂蜜入りのミルクティーを作ってあげるのですが、五歳になる息子が最近、それ欲しさに病気になったと嘘をつくのです。どこも悪くしてないのにね」

会話も問題なくできるようになって、屋敷の使用人の幾人かとはこうした会話を交わすようにもなった。

「ふふふ、わかります。私も小さい頃、体調崩すとお母さんがゆず茶淹れてくれて、ええと、甘酸っぱい果物のジャムのお茶なんだけど、あれお薬だと思い込んでたな」

「あなた方の国ではどうやって病気を治すのですか?」

「病気の種類にもよるけど、今スズが患っている病気だったら飲み薬か注射、薬を直接体に入れることで治すことができますよ」

 少女の病は元の世界に帰ればすぐさま治せるという話をした時には女中も執事もその他の使用人達もたいそう驚いたものだった。

「その薬を作ることはできないのですか?この街では薬の他にも、色々な食材やスパイスや草木を手に入れることができますが」

この世界の医療は漢方医学と似たようなもので、薬も、漢方薬が葛粉や肉桂や生姜などの食材とその他の植物、キノコなどを煎じたりペーストにしたりするのと同様、食材だの薬効植物だのから作られるらしかった。

「いやぁ、できませんよ。道具もないし、そもそも私たちは薬剤師じゃないですから」

製薬会社に勤めていたわけでもない。しかし女中はその薬を作るのが、レシピを知ってさえいれば、簡単だと思ってそう聞いたわけではなかった。

「そうなのですか?私たちはもしかしたら、あなた方はメグ様と同じく魔法使いなのではないかと思ってすらいるのですよ。だって、あなた方は突然私たちの言葉を理解するようになったじゃないですか」

これには少女も彼も思わず笑ってしまった。

「あはは、でもいいえ、私たちは魔法使いじゃないですよ」

「ええ、私たちの元いた世界では魔法というものはないですし、魔法使いもいません。言葉を調べたのは魔法じゃないし、薬だって魔法で作るわけじゃないですよ」

なぜ魔法使いならば薬を作ることができるかもしれないと思ったのだろうか。この世界での薬の開発製造には魔法使いが携わっているのか、それとも、不治の病を簡単に直してしまえるという薬は魔法の薬のように思われるということか。

 よしんば彼らが魔法使いだったとして、未知の言語を理解する魔法というものがあったとして、その魔法が使えるということと、薬を作れるということがどうして結びつくのか。もしかしたら、この世界の人たちにとっても魔法はやはりよくわからないもので、魔法使いといったら一緒くたに魔法使いなのかもしれない。ゲームの中では黒魔道士だとか白魔道士だとか精霊使いだとか、色々な種類に分類されているが、それもゲーム的な制約と面白くするための工夫で、しかしそういうゲーム内部の枠組みを知ることのない人物からすれば魔法の区別は難しいかもしれない。もちろん効果や見た目、各個人の習得状況などから便宜的に分類することはできるかもしれないが、それはあくまで便宜的なものであって、作用機序や因果関係などの客観的な根拠に根ざしたものではない。繰り返しになるが、仕組みがわかっていたらそれは魔法ではない。できて、分子生物学的手法が発達し遺伝子やゲノムの相同性を解析できるようになった頃よりも前の分類学程度のものだろう。神話や説話、昔に書かれた幻想文学においては魔法、呪術の描写に系統的な区別は少ない。

 女中は駄目元で聞いたのだろう。しかし抗生物質の精製は料理やお菓子作りとは違うし、また、少女の病に効く漢方薬があったとして、さらにその製法を彼らが知っていたとしても、この異世界においてその素材を集めることができない。たとえ元いた世界のものと見た目、味、香りがそっくりな薬用植物がこの世界にあったとしても、含まれる成分までもが全く同じであるという保証はない。

 逆に、現代の人たちが、薬を作るのには専門的な知識と技術と道具が必要であると了解しているのはなぜだろうか。教育の賜物だろうか。しかしフィクションに描かれる科学者や研究所や実験室はおよそ現実のものとはかけ離れているし、やはりそういう、専門的すぎてなんだかよくわからないがすごい専門的ですごいらしいという印象を持っているからだろう。そういう意味では、現代人にとっても薬というのは魔法と大して変わらないということだ。

 そこまで考えて、逆に、タクミは自身で薬を作れるのではないかという気がしてきた。だって、科学は魔法ではないのだから、科学をするために彼は魔法使いである必要はないのだ。


 薬を作るといっても、前述の通り、材料をお鍋でぐつぐつやりながら混ぜればできるというものではない。かといって、sci-fiで描かれるような電極から小さな電とかビームとかがビカビカってしたりとか、ロボットアームがウィーンって動いたりするのが必要というわけでもない。

 では何が必要か。作りたい薬は、より詳しくいえば抗生物質で、菌が生産した抗生物質を精製するというのが一番確実な方法だろう。菌を培養して、培養液をろ過するか、あるいは菌を破砕して内容物を取り出し、その中から求める抗生物質のみを単離するための、各種の適当な容器と機器と試薬と、それにきれいな水が必要だ。容器は、ガラスや陶器で作ることができる。機器は、求めればきりがないが、少なくとも浄水装置に蒸留装置、減圧装置と冷凍庫は欲しい。熱機関を作ることはできるだろうか。試薬はエタノール、精油、塩化ナトリウム、酸性溶液、塩基性溶液、リン酸緩衝液、pH指示薬、あと何がいるだろう。

 工作を全て自分でやるだけの技術も暇もないから、街にいるガラス職人や鍛冶屋、大工に頼ることになる。試薬も用意するとなると、その材料から集めねばならない。全てが特注になるだろうから、ちょっと想像したくない程の費用がかかるだろう。

 彼自身が裕福な貴族で浪費できるだけの経済的な余裕があればよかったのだが、ただの食客だ。不治の病たる結核を治すことのできる薬を完成させることができればものすごい利益を生み出すだろうが、今彼がそう言ったところで投資を募れるわけでもない。

 科学研究はとにかくお金がかかるのだ。それは別にロケットを打ち上げるとか建物大の観測装置を作るとかの大きなプロジェクトでなくても、例えば机の上に乗るような顕微鏡一台が数百万、数千万円したりもするし、実験50回分程度(研究を一本の論文にまとめるためには何種類もの実験を何度も繰り返さなければならない)の試薬キットが数万円したりもする。数人から十数人の研究者や学生が所属する一つの研究室が年間数百万から数千万、あるいはそれ以上の研究費を使って研究している。

 それでもその研究の結果新しい薬や診断方法、新しい素材、技術が開発されれば同等以上の利益を生み出す。一方で基礎研究は、そういう利益には直結しないので、国や財団が未来に応用研究の土台となることを期待して、未来への投資として研究費を与える。科学全体にかかる費用と科学全体が生み出す利益は釣り合いが取れている、のだと思いたい。

 そして、彼らにとっての問題は、この世界にはまだそのような研究を助成する社会的な枠組みがないということだ。しからば予算を自前で用意しなければならないが、しかし起業してお金を稼いでいる暇もない。元の世界から持ち込んだ少ない私物の中で、それだけの価値があるものは。服も靴も鞄も、この世界の基準からすれば高級品にもなろうが、しかし研究費には全然足りない。パソコンもスマホも電源さえあれば魔法の道具と同等の代物だろうが、現状ガラクタでしかない。

 しかし一点だけ、おそらくこの世界でも需要がありかつ技術的に成し得ないものがあった。屋敷の広間には機械式の時計が置いてあったが、あまり正確ではなくて、庭とサロンに置かれた日時計を参照して毎日調整されていた。また、一般的な時計は複数のししおどしを組み合わせた水時計(当然精度は高くない)とのことだった。一方で彼の腕時計はこの世界に来てから一度も調整していないにも関わらず、その針が正午を指す時はいつも、日時計もまた正午を指していた。

 こちらの世界に迷い込んだ時、日本とこの街とがたまたま同じ時間帯だったということで、ついでに暦を調べると、一年は365日で四年に一度閏年があるのも地球と一緒だった。つまりおそらくこの惑星は地球と全く同じ公転周期と自転周期を持っているらしかったが、今更そんな偶然に大して驚いたりもしない。文字盤はシンプルなデザインで3、6、9、12のアラビック数字が書かれていて、この国の表記とは当然違うが、使用には問題ないだろう。そしてどういう偶然か、この世界の、少なくともこの街の文化では1日は24時間に区切られていた。

 都合が良すぎるだろうか。しかし、魔法だとかホモ・サピエンスにしか見えない異世界人と比べたらどうということはない。

 彼は早速執事を呼び出して計画を説明した。

「ただし、今話した通り、道具を作り材料を用意するところから始めなければいけないので、長い長い時間とたくさんのお金が必要になるし、上手くいく見込みもあまり高くはありません。それでも、可能性があるのなら、スズの病気を治せる可能性があるのなら、私はやってみたいと考えています。そこで、この時計を担保にして、私の薬作りを支援して欲しいのです。薬が完成したら元は取れるでしょう。薬以外にも、途中でできるものは十分に価値のあるものだと期待されます。そして、もしも失敗して、何も得られるものがなかったら、その時計を埋め合わせに当ててください」

 彼の話を聞くうちに、初めは穏やかな表情をしていた執事も、事の大きさを感じ取っていつになく真剣な眼差しになった。

「少し、考えをまとめる時間をください。タクミ様の時計は確かに価値のあるものです。魔法の道具ではないとのことですが、それと同等のものに思われます。だとすれば、その価値はメグ様の領地の全てにも相当するかもしれません。タクミ様もそのことをご注意ください」

 腕時計の価値は、予想よりもはるかに価値のあるものだった。もちろん価値が低いよりかは断然良いのだが、しかし融資する側の資本よりも高い質というのは確かに扱いが難しい。彼は執事に薬を作るためには特殊な建築物を作ったり、あるいはどこかのそれなりに大きい工房を丸々買い取る必要があるかもしれないと話した。

 さて実際執事がどこまで彼のやろうとしていることを理解できたかはわからないが、それでも執事は彼の提案を前向きに検討してくれた。きっと、彼らが短期間のうちに自力で言語を学習したことで、彼らが魔法でないにしろ何か進んだ技術を持っていて、それで想像だにもしないようなことをやってのけてしまうかもしれないという信頼感を与えていたおかげだろう。口外無用の約束の下、屋敷の資産状況を教えてくれた。

「工房に関しては、この屋敷の修繕と内装、調度品でそれぞれ懇意にしているところがありますので、彼らに頼むことができますが」

「うん。それから、建物とか陶器とかガラスとか、それから絵の具とかの材料も必要になるんです。工房で手に入ればいいんですけど、もしかしたら鉱山とかに直接注文することになるかもしれないんだけど」

「うちは鉱山の類の経営はやっていませんが、工房のツテをたどってみましょう」

日常であまり使わない単語はまだ辞書を繰りながらになる。

「あとエタノール(これは該当する単語を見つけられなかった)なんだけど、ええと、お酒に入ってるものなんだけど、それを蒸留してエタノールだけにしたものが必要なんだよね。味や香りが少なくてでも強いお酒あるかな」

「お酒は蒸留酒でもいいのですか?穀物の蒸留酒と果物の蒸留酒がありますが」

「うん、蒸留酒をさらに蒸留することになるんだ。原材料は、エタノールはどんなお酒にでも含まれてるけど、その他の香りの成分とかはできるだけ少なくしたいので、何がいいかはやってみないとわかんない。いずれ蒸留装置を用意できてからかな」

 説明のために用意したメモに適宜書き足しながら、彼は少しづつ具体的な計画を立てた。

「それから、かまどを備えた作業場と、浄水槽、水をきれいにする装置を作りたいんだけど、ここの裏庭にそのための小屋を一軒立てることはできるかな?」

相談が大体終わり、各工房を訪ねる日程が決まって一息ついたところで、執事も緊張を解いて、そして面白そうに笑いながら感想を述べた。

「タクミ様は魔法使いではないとおっしゃいますが、しかしお話を聞く限りではとても不思議なことをなさいますな。水をきれいにするとは一体どういうことなのか、想像つきません」

言われてみれば、浄水場が整備されたのは近代以降だし、現代においても怪しげな、特別な水というのが世間で売られていたりもするから、ただの透明な水にきれいだのなんだの修辞をつけるのは確かに呪術的に聞こえるかもしれない。彼は適切に処理された水を執事達に振る舞うのが楽しみになった。


 一日をおいて二日後からの数日の間、タクミは使用人を三人ほど連れて街のあちこちの工房やアトリエ、鍛冶屋、大工の工場などを視察して回った。大きな街だけあって、石細工やガラス細工、染物など様々な職人がいた。しかし、いくつかの職業、例えば陶芸などはごく小さな工房があるきりで、屋敷で使用されているものは別の陶芸の盛んな街で生産されたものということだった。残念(安心?)ながら武具屋はなかった。

 彼が薬作りとは関係のないところで面白いと思ったのは、とある鍛冶屋の親方以下数名が、背丈が130cmほどでがっしりとした体格の、肌は浅黒く、ヒゲの豊かな男だったことだ。山岳地帯の冶金鍛治の盛んな地域の出身だという。まるでドワーフのようだった。この世界の住人の感覚では異国の民族程度のもので、それほど珍しいものでもないらしかったが。

 魔法使いというのは彼が想像した以上に有力者であるらしく、その客人であるというだけで余所者の彼も丁重に歓迎された。そのおかげで、案内付きで工房の内側まで見学できたのだが、街の技術水準は意外と高かった。全て人力だが、ろくろや、旋盤やフライス盤などの掘削工具もあった。

 精巧なガラス細工や、ラテックスのような天然樹脂を用いたゴムやシートもあった。麻、木綿、絹、羊毛に相当するもの、すなわち植物の葉茎の繊維、種子表面から伸びる綿毛、完全変態する虫の蛹を覆う繭、動物の体毛を用いた織物もあった。聞くところによると、繊維目的に家畜化された虫や動物はどちらも複数種いるらしかった。ドワーフ(この街では彼らは外国系二代目ぐらいの扱いでしかなかったが、ここではタクミの感覚に則りこう呼ぶことにする)の鍛冶技術も高く、銅、鉄、錫、鉛、亜鉛、金、銀、水銀とその合金が用いられているようだったが、オリハルコンやミスリルは当然なかった。

 燃料は薪、木炭、石炭、それに限定的ではあるが石油も使われているらしく、また照明には植物油のランプやろうそくが使われていた。気候は温暖で暖房の必要はないし、熱機関もまだ発明されていないから、火力のもっぱらの用途は調理か工房の窯ぐらいだ。

 彼は工房を見て回りながら、夕方屋敷に戻ってからはラボの設計図を引いた。裏庭の使ってない倉庫を好きに改造して可いと言われたので、とりあえず浄水槽と貯水槽と、化合物合成用の窯をいくつか、それに試薬調整の部屋、菌培養の部屋、実験をする部屋を用意するのだ。元々は何に使われていたのか、厩か、作物を貯蔵でもしていたのか、倉庫は広くて、内部は簡単に、中央の広い廊下の両脇に四つずつの部屋に区切られていた。とりあえず壁を補修して、土間を板張りにし、換気口を整備する。実験室はできれば23-6℃に保ちたいので、窯の部屋は他から離れたところにしようか。

 説明に一番苦労したのは浄水槽だった。彼が設計したのはいわゆる緩速ろ過水槽で、沈殿池を兼ねた給水槽、ろ過水槽、流量調整用の水槽、貯水槽と、それらの間をつなぐパイプと手動のポンプだけだ。構造は単純なのだが、しかしこの世界ではまだ発明されていないので大工たちには経験がないし、そして図面を引いてその通りに作るという習慣もなかったのだ。彼らは家を建てるとき、柱の間隔も、屋根の高さも、扉や窓の枠の大きさもだいたい経験的に決まっている値をそのまま用いるらしい。タクミが図面に寸法を書き込んで見せながら説明しても、それを実際の大きさに等倍するという発想がないのでパーツ間に大きさや位置の歪みが発生する。

 緩速ろ過は、その名の通り、砂の層にゆっくりと水を通過させることでろ過する浄水方法だ。砂の層の中には細菌や菌類、原生動物などの微生物がバイオフィルム(微生物と粘液状の細胞外マトリクスによって構成される巨大なコロニー)を作り、水に溶けている無機物や有機物を吸着したり分解したりする。水が砂フィルターを通過する速度はフィルター内の水の通りやすさ(抵抗)とフィルター前後の水圧差、すなわちフィルタの上に張られた水の水位と流量調整用の水槽内の水位の差によって決まる。流量調整用の水槽の中には水位調整用の可動堰があって、砂フィルターを通過してろ過水槽の一番下から放出された水は流路調整用の水槽の中で堰の高さまで上昇してから貯水槽へつながる水路へと流れ落ちる。

 であるから、各水槽の位置関係は重要なのだが、しかしそれがなかなか伝わらない。結局彼は自ら現場を監督し、コンクリートの木枠を作るのを手伝った。水時計の部品として鉄パイプとバルブは存在した。木枠にコンクリートを流し込んでから十日間養生し、ひび割れがないことを確認して内壁を洗浄した。出来上がったのは、広さ高さ約1m×1m×2mのろ過水槽と2m×3m×1.5mの貯水槽だ。数枚に分けられたコンクリートの板の蓋も作り、布を張った通気口で埃が水槽に入らないようにした。

 底に砂利を薄く敷き、さらにその上に砂を約1メートル重ね、水で満たして五日間静置した。顕微鏡がないからバイオフィルムが形成されているかもわからないし、カラムクロマトグラフィーもないから水質検査もできない。ろ過水槽と流量調整用水槽をつなぐバルブを開けると、果たして水がゆっくりと染み出してきた。貯水槽に水が浅く溜まったら、その水を使って貯水槽の内壁を洗い、汲み出して捨てるというのを七度繰り返した。

 着工から20日目、貯水槽にようやく溜まった水を手動のポンプで汲み出し、給水槽に入れる水(を一旦煮沸したもの)と飲み比べてみると、果たして明らかに味に違いがあった。処理前の水も、ただそれだけを飲んでいれば特に意識されることもないのだが、処理後の水と比べると、わずかに生臭く、また舌に何か残るような感覚がった。使用人達に飲ませてみると、期待通りの嬉しい反応だった。

「驚きました。これが水をキレイにするということですか。確かに。いや、メグ様の別荘の一つに、美しい泉が近くにあるのですが、その水源の水はこのように美味しいのです」

 そしてこれは、資金繰りという点でも彼にとって朗報だった。

「それなら、この水か、それかこの装置を商売にすることはできるかな。この浄水槽は特に難しい操作やメンテナンスもいらないし、飲み水としても美味しい、料理に使ってもいい。本当は、キレイになっている(殺菌されていると言いたかったが、適当な言葉がなかった)ので、傷口を洗うだとかもこの水を使ったほうがいいんだけど」

「ええ、いけると思いますよ。いくつか、親交のあるお屋敷と集会場に声をかけてみましょう」

この街には高級レストランだのバーだのの類はなくて、貴族やお金持ちが外食するとしたら一見さんお断りのクラブのような施設に行くということだった。表通りには屋台や食堂はあるが、もっぱら中流階級以下が利用しているらしく、美味しい水というものにどこまで価値があるかもわからない。滅菌された安全な水というのはとてつもなく価値のあるものだし、その滅菌水を提供する浄水施設は本来ならば為政者が投資して作らなければならないが、そもそもその価値が理解されていないので、需要は限られてくるだろうが。


 さて、早速受けた融資を返す手立てが一つ得られたわけだが、まだまだ全然足りない。幸い倉庫の改装と竃、浄水槽の工費はそれほどかかっていないが、その他にも大量に発注した、そしてこれからもおいおい注文していくであろう、道具や材料の費用はそれこそ貴族のひと財産にも匹敵する。

 たとえば実験机。別に、現代の実験室で実際に使われている机は、sci-fi映画に出てくるような、何か不思議な機械が埋め込まれててウィーンガチャって動いたりピカピカ光ったりはしなくて、ただの引き出しがついた簡素な机だ。けれどもオフィスで使われているような机とは違い、天板は薬剤等に耐性のある材質でカバーされているし、またちょっと重い実験機器や薬品棚を上に置いても歪んだりしないように分厚い板と太い支柱で頑丈に作られている(実験機器によっては水平に設置されていないと不具合が出るのだ)。

 たとえばガラス皿。円形の真っ平らな底面と数センチメートルの垂直に立った縁の、いわゆるシャーレまたはペトリ皿と呼ばれるもので、径がわずかに大きいものを裏返して重ねれば蓋をできる。もともとは微生物の培養のため寒天培地を敷く容器として考案されたものだ。その他にもフラスコやビーカーなどなど。

 机だお皿だといっても、たとえ何かスペシャルな仕掛けがしてあるわけではなくとも、それでも日用品のそれらとはやや異なる設計で、だから既製品はなく全てオーダーメイドになる。実験機器は言わずもがな。加えて、試薬調合のための材料は、いくつかは簡単に手に入ったが、いくつかは鉱山や採石場から直接取り寄せることになった。

 アルコールに関しては、もう自前で醸造することにした。お酒を美味しく作る必要はないのだから、適当なジュースに酵母をぶち込んで数日間ほっとくだけだし、また、屋敷の使用人が数人それならば手伝わせてくれと張り切っていた(飲料用ではないと言ったら奇妙な顔をされたが)。

 蒸留酒はあって、蒸留装置もあったのだが、単式蒸留器という、蒸留缶で原液が加熱され、発生した蒸気が冷却槽に送られるだけの簡単なものだったので、連続式蒸留機という、蒸留塔の中にトレーが階層を作り、そのトレーの間で蒸発、凝集を順次行うことで高純度で精製することができる装置を作ってもらった。これも大変だった。二日かけて紙を切った張ったして小さな模型を作って、ドワーフに見せて、工程のところどこでチェックを入れながらやっと完成させた。

 1気圧下で水の沸点は100℃でエタノールの沸点は78℃だから、蒸留すればエタノールが先に気化して水が残り、気化したエタノールを冷やして凝集させることで二者を分けることができるが、実際には水も同時に少量ながら気化しており、アルコール度数が96%になったところで蒸発した気相の組成もエタノール96%水4%になり、それ以上濃縮できなくなる。しかし、主な用途は70%に希釈して消毒液として使うのだからそれで構わない。

 酢酸も同様に、自分たちで醸造したものを蒸留することにした。

 寒天はあったが、遠方の産物で、高級食材だった。大量に注文したら厨房の連中がそわそわしだした。しかしもちろん自分たちで食べるのではなく、バクテリアの餌となるのだ。

 窒素化合物の原材料となる硝石は簡単に手に入った。それそのものが、畑の肥料の原料などとして流通していた。供給元はお便所から排泄物を汲み出し回収している集団だった。詳しく聞き出すことは叶わなかったが、おそらく古土法に似たようなやり方で生成しているのだろう。臭いものを扱うので、予想通り被差別階級だったし、よって集団の構成員は基本的に貧困層であったが、元締め以下数名だけはむしろ下肥だの硝石だのの販売から得られた利益でか、そこいらの商人よりかもよほど裕福なようで、屋敷を構えて立派な身なりをしていた(商売の窓口としてお綺麗にしておくという必要性もあるのだろうが)。

 食塩(塩化ナトリウム)や植物性の油は普通に食材としてあった。

 氷は冬に山間部から運んできたものを氷室に貯蔵しているものがあったが、高級品だった。

 生石灰(酸化カルシウム)や消石灰(水酸化カルシウム)は建築材料としてあった。

 炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)、珪石や石英(二酸化ケイ素)はガラスの原材料としてあった。

 硫黄、リン鉱石、カリウム岩塩などは残念ながら流通していなかったので、工房や大工のツテをたどって鉱山主や鉱山技師などを招待し、聞き取り調査して、サンプルを取り寄せてやっと確保した。当たり前だが産地はそれなりに遠方だし、手紙のやり取りも人の行き来も時間がかかるので、およその材料の調達先の目処がたつのにも実に50日近くかかったのだった。

 幸いなことに、スズの症状はその間も、少なくとも見かけ上は、回復しないにしろ大きく進行するということもなく、また、毎日起床して日中は居間で過ごし、体調がいい日には庭に散歩に出られる程度には体力も保たれていた。街医者曰く、同じ病の他の患者よりも進行が明らかに遅いらしく、おそらくは栄養状況や元々の健康状態が病原菌に対する抵抗を高めていたのだろう。加えて症状の進行速度には大きな個人差があるということで、いずれ時間的余裕が実際どれくらいあるのかもわからないが、まだしばらくは大丈夫だと思われた。

 各種器具材料の納品を待つ間も、彼は有用かつ準備可能と思われる機器の設計と発注を続けた。例えば注射器(シリンジとニードル)、ゴム管、ラテックス手袋、アルコール温度計、天秤、物差し。それからコマゴメピペット、マイクロピペット、アスピレーター、スターリングエンジン、ボルテックス、オートクレーブ、遠心機、冷蔵庫、圧搾機。少女はそれらを面白そうに眺め、時には雛形模型の制作を手伝ったりもした。

「今度は何しようとしてるの?」

「ラボの屋根の上にね、給水槽作ろかなって。浄水槽から汲み上げてさ、そしたら、そっから水道管下ろせば、蛇口ひねったら水がジャーって出てくるのよ、ジャーって」

「それは、いいね。文明的ね」

 高置水槽は給水の利便性だけでなく、エネルギータンクとしても使える。彼の構想ではこうだ。太陽光を利用した低温度差スターリングエンジンで水を浄水装置の貯水槽から高置水槽に汲み上げる。スターリングエンジンを使う理由は、運用に人手があまり要らないからだ。ガソリンや天然ガスは流通しておらず、また採掘できたとしてもそれらを安全に管理できるインフラがないので、内燃機関を用意することはできない。蒸気機関を作ることはできるだろうが、機関を動かしている間中人がついていなければならず、技師を教育するほどの暇があるわけでもない。対してスターリングエンジンは太陽光でも稼働し、日中に汲み上げた水は昼夜通して冷蔵庫や実験機器を動かすエネルギーとしても利用できる。

「もしかして、シャワーも作れる?」

「それよ。汲み上げた水を太陽光パネルで加熱して保温槽に貯めるでしょ。冷たいままの水と適当な割合で混ぜながら流すでしょ。まあ、保温性能どれだけできるかもわからんから、夜中まで温水が保つかもわからんけど、夕方だったら多分いける」

「すごいすごい!文明開化じゃん!」

 不治の病に冒され、数年のうちには命も危ないと言われた割に、少女は普段は明るく振舞っていた。最近では、自分の病を治すための薬を全て彼に任せきりなのは申し訳ないと、金策をあれこれ手伝ってくれたりもしている。


 彼が用意した器具は実験のためのもので、多くは他人にとっては無用のものであったが、しかしドワーフやガラス職人たちの興味をよく惹いた。無用だけれども、不思議な動作をするし、技術的な困難もやりがいのある課題として積極的に挑戦していた。彼が投資を惜しまず、常に前払いだったからというのもあるだろう。

 特に時間がかかったのはガラス細管加工と旋盤の技術向上だった。この街の技術レベルでもピペットは作れたが、温度計のための、内径が小さく一定のガラス管を作るためには、人の手では難しく、プレス成形の機械とガラスを回転させながら引き延ばす機械を作って導入した。エンジンや揚水ポンプ、圧搾機のシリンダーや遠心機を作るのにもそれなりに精密な制御ができる旋盤が必要だ。ネジを作って歯車を作って、旋盤本体を一から新たに作った。これらの工作機械や実験機器は、たとえ技術的に革新的なものであったとしても、この世界の文化生活習慣にとってはほぼ無用の長物で、運用コストが利益に見合うことはなく、すぐさま資金回収に回せるものではなかった。

 一方で彼が驚いたのは、ドワーフ達の職人技術の高さだった。彼は各機械の動作原理しか知らず、それで適当に引いた設計図から、ドワーフ達は試行錯誤を繰り返して失敗作を量産しながらも予想以上に素早く目的の機械を作り上げてしまったのだ。工房を訪れるたびに設計図が更新され不具合が修正され、最終的には十分に機能的な品物が出来上がった。

 また、工作機械や制作物の洗浄に用いるため浄水装置を懇意になった各工房にも設置し、さらには、同じく洗浄用の工業用エタノールを醸造し蒸留する工場も作った。こちらは適当な酒蔵の類がもともと無かったので、市内の空き地を買い取って一から新造することになった。設備投資と従業員の雇用、教育(屋敷内でアルコールの醸造を担当していた使用人がその監督役を買って出てくれた)でまた大金が飛び、工場が順調に稼働して利益を出したとしても、資金を回収するのには数年から十数年かかるだろう。

 当たり前だが、彼はもともと日本の食品会社の従業員で、多少の生化学の知識と心得があるとはいえ、建築も機械工作も工場経営も初めてのことで、毎度毎度本当に上手くいくのかヒヤヒヤしながらそれらを実行した。件の魔法道具盗難騒動の後始末がひとまず落ち着いて少しばかり余裕のできたバートルを始め屋敷の使用人達があれこれ手伝ってくれたのも助かった。特に、メグの教育係をしていたという女性使用人のセンセアが面倒な渉外をほとんど引き受けてくれたので、彼は機器の設計や鉱物の同定に集中することができた。

 彼があれこれと活動を開始したことは、街の住人の注目を集めることにもなった。

 バートルとセンセアの強い勧めもあって、街の有力者の幾人かをディナーに招待したりもした。本当はそんなことしてる暇ないとか、初対面の人たちを招待するの怖いとか、ただの居候の分際で主人面するのはヤダとか言いたかったが、実験を続けるのや商売を始めるのには必要なことでもあるので、仕方なしに何度か食事会を持った。ついでに、その席で浄水を振舞って宣伝したりもした。

 タクミたちが件の事件で異世界からやって来た人たちだということも周知のことで、客たちはもともと彼らの話を聞いてみたいと機会を伺っていたらしく、今まではメグの不在や彼らが言葉を学習中ということもあって接触がなかったのを、今や彼がメグの代わりにあれこれ新事業を始めているとなれば、あちこちから声がかかってしまうのも当然だった。会食では彼が始めた事業のことよりもむしろ元いた世界の、日本のことをあれこれ聞かれた。


 しばらくぶりの二人での庭の散歩の途中、東屋で休憩しながらタクミとスズは互いの近況についてあれこれ喋っていた。機械工作と素材調達とに奔走する彼に、少女から少し休めと注意が入り、抗生物質を自分で精製すると決めてからおよそ60日間不休だった彼も我に返って、一日休むことにした昼のことだった。

「そういやこっちきてから随分経つけど、あんまり気温変わらんねぇ」

「あ、そういえばそうだねー。ずっと過ごしやすいのは助かるけど」

 街は内陸にあるが、平地で標高が高いということもないらしい。

 空を見上げると太陽はだいぶ高い位置にあった。多分、日本の東京よりも緯度は低い気がする。沖縄か、あるいはもっと南か。世界地図というものがまだ存在していないので、この街の位置も周りの環境もよくわからないが。

「この前来たノーザ領主さん覚えてる?食事の後でお酒飲んでたときね、日本の四季の話したら驚かれたよ。この辺だと一番寒い時期でも池に氷が張ることもなくて、でもノーザ領だと冬は結構寒くなって、雪も結構積もるんだって。東京が夏はここよりもずっと暑くて冬はずっと寒いちゅったらびっくりしてた」

ノーザはだいぶ北に行ったところにある土地らしくて、そこの領主一家の四女がこの街に住んでおり、先日の夕食会の参加者の一人だった。

 この街や周辺の季節の感覚は日本とはだいぶ違った。四季ははっきりしておらず、雨期(日本の梅雨ほどではない)と風が吹く時期、渡り鳥が来る時期、去る時期などがあるが、年中通して穏やかな気候らしい。これは本当に運が良かった。暑すぎまたは寒すぎる環境で菌培養や生化学実験したくないし、その場合に十分に機能的な冷暖房システムを作るのもすごく大変だったろう。

「そうだ。今朝工房に行ってきたんだけど、スターリングエンジン結構いい感じに仕上がってきてたから、揚水ポンプと、それからシャワーもそろそろ実装できるかも」

「ほんとう!?」

「うん。まずはラボにだけど、うまく行ったら屋敷にも設置できるか相談してみようか」

すでに浄水装置は屋敷内の物置部屋を一つ改装して設置してある。主人の不在中にあまり好き勝手に屋敷をいじくりまわしすぎるのも気が引けたが、使用人達は皆新設備を歓迎していたし、むしろ、スズから現代日本社会の話を色々と聞き出したのであろう、洗濯機や水洗トイレを作ることは可能なのかと聞かれもした。

「あとね、このスターリングエンジンがちゃんと動くなら、冷蔵庫もできるかな」

「え?」

「冷蔵庫、というか、冷却装置」

「え?え?発電するってこと?冷蔵庫ってそんな簡単に作れるの?」

「別にわざわざ発電しなくても、スターリングエンジンがそのまま冷却装置だよ。あれ外燃機関だから、エンジン回すのの逆過程で冷却できるじゃん」

 少女はまだ中学生だったので熱力学も未履修だし、その簡単な説明では理解しようもなく、頭の上に疑問符を浮かべている。一度理解してしまえば至極当たり前のことだが、科学技術が身の回りに溢れる現代日本人の少女でもこうなのだ。なるほど、彼の作っているものはこの世界の人々には魔法にも見えて、だから職人たちも奮起して制作に取り組んでいるのかもしれなかった。

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