【第二幕】 太陽が目指した遥か


 わたしにとって"彼"は親しい友であり、心からの友ではありませんでした。何故なら、心からの友というのは、お互いにそう思い合わなければ成り立たないので、"親しい"くらいの距離感の友達が表現的に丁度良かったのです。わたしは"彼"を心からの友と思ってなかったので。

 それは至極単純に――いや、もうこの際御託はいいですね。わたしは"彼"を好きだったので、友達以上でありたかったのです。しかし、"彼"はもう自分の命の長さを知っていたのでしょう。わたしの恋は受け取らず、"心友"などと言ったのです。

 もし恋人になってしまったら、わたしが悲しむから。同じ境遇なのに、同じ境遇だからこそ、"彼"は"心友"を選んだのです。

 ――同じ気持ちで、あったこそ。

 そんな中、わたしにはまたも親しい友達が出来ました。わたしより年下の、優しい子達です。とてもとても優しくて、自然と一緒にいる事すら当たり前になってしまい、わたしは――わたしは、ただ、あの子達と居る事を、望みました。

 楽しくて。

 嬉しくて。

 だから、だからこそ、"彼"と同じように、誰かを、親友達を、悲しませたくはないと、思ってしまったのです。

 わがままであり、独りよがりであり、最悪で決断でした。

 でも、最善の決断でした。

 そうしなければ、わたしはダメになってしまうから。あんな、あんなにも優しい子達を、わたしのせいで、悲しませたくはなくて――

 なくって

 どうしようも、なくって

 わたしは、わたしは、

 

 さよならをしたのです。

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