展示NO.4 飛翔、あるいはその準備の為のトッカータ

美術メガネ界に打ち込まれた白く輝くくさび


 帝国美術大学に進学した空刻は造形美術を専攻し、そこで取り憑かれたように作品を作り続けます。残念ながらその時代の彼の諸作品は、僅かに映像や画像でその片鱗が記録されているだけで殆どが失われています。空刻自身が、その作品を厳重に破壊して破棄したからです。


 この作品も、何事もなければ人知れず破棄された数多いメガネの中の一竿になる筈でした。


 悪戯好きの空刻の友人の一人が天使とその翼をモチーフとしたこのメガネを勝手に持ち出し、適当なタイトルを付けてコンテストに応募したのです。


 これが彼の、空刻究人の快進撃の始まりでした。

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