Loop2 5/22(日) 16:49【週末黙示録:4】

 2022年 5/22 (日) 16:49『瀬戸ノ夢学園 屋上』


「皮肉なものよね。世界の終わりが、こんなにも美しいなんて」


 滅び行く地球をを眺めながら、ウラサカはそんな言葉をふと漏らした。大火に燃える街。その光は空を照らす夕焼けもあいまって、世界をオレンジに染め上げる。流れ星が黒い地平線に落ちて行った。一つ、二つ、三つ。数えきれないほどの流星が、燃え上がるような空を切り裂いていく。


 ここは本当に地球なのだろうか? ジュンペイはふと、そんな突拍子もない考えに駆り立てられる。宇宙には夕焼けしかない星もたくさん有るらしい。もしかしたら僕達はそこにいるのかも……。それは本能だった。防衛機構、人間はあり得ない危機的な状況に陥ると、それを現実とは認めない。認めたら、心が耐えられないからだ。


「逃げないで、この現実から」


 それでもウラサカはそう告げた。


「流れ星は願いを叶えてくれない。祈っても、神様は助けてくれない。私達が変えるしかないの、この運命を」


 そしてウラサカは、その親指と人差し指を重ね合わせた。


「時間よ——」


 ウラサカの指がなった瞬間、ジュンペイは宙に浮く感覚に見舞われた。

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