第6話 敵は精霊門にあり!
設営に時間が掛かりそうな大型天幕と
(…… アルド騎兵長とデレス歩兵長だったか?)
二人とも戦闘終了後に中隊規模の兵卒を
などと思い出していたら、いつの間にか隣に寄り添っていた赤毛の少女が俺の後頭部に手を伸ばし、跳ねた後ろ髪を直そうとしてくれる。
「もう、朝から寝癖をつけたまま何処に行ってたの?」
「すまない、一声掛けるべきだったな」
「私語は
「はぅ、すみません」
小声で応じたものの、しっかりとライゼス副団長には聞こえていたようで、注意された此方に皆の注目が集まってしまう。恥ずかしそうに頭を下げたレヴィアに合わせ、俺も軽く頭を下げておいた。
「さて、始めるとするか…… ライゼス」
「先ず敵方の動きだが、斥候隊の報告によれば精霊門周辺にて護りを固めているとの事で、その数は此方が動かせる兵力の倍近い」
その言葉に集まった者達の表情が険しくなるも、団長であるゼノスが気楽に笑い飛ばす。
「雑魚の数など問題にならん、重要なのは大型種だろう。なぁ、フィーネ」
「
「此方と同じく五体だが、その内一体が地竜だぞ」
「どの道、倒せなければ我らに先は無い、此処が
なお、敵方は此処より二十キロメートルほど先の水源地でもある岩場に精霊門を構築している最中であり、不死族の姿もあったという。
軍議に参加できたことで新たに幾つか手持ちの情報を更新して、解散後にレヴィアと朝食を済ませていたらディノが歩み寄ってきた。
「…… 昨日は世話になったな、いずれ借りは返す」
「あぁ、勝ち逃げする気は無いさ」
鋭く睨み付けてきた視線を真っ向から受け止める事暫し、軽く舌打ちした彼は騎兵隊が集っている場所へと
「………… ディノ」
「ディノ様は騎兵隊に組み込まれたそうですね」
「まぁ、新しい騎体が配備されれば戻ってくるさ…… あ、隣いいよね?」
心配そうに幼馴染の青年を見送るレヴィアに一声掛けて、朝食の器を持った件の兄妹が傍に腰を下ろす。
「何か用事でも?」
「うん、僕らと君達にライゼス様からの命令が来ていてね」
「暫くご一緒させて頂きます、お二人とも」
食事を取りながら
「割と大役じゃないか……」
「だから兄様と貴方なのですよ、クロード様」
「買い被られたものだな」
「うぅ、緊張するよぅ、お腹痛くなってきた……」
不安そうな表情で腹部をさするレヴィアの頭を軽く撫ぜ、本隊に先んじて出立する必要があったため、手早く残りのパンとスープを腹に詰め込む。
そうして俺達は少数の斥候歩兵に導かれ、大森林の木々に紛れて
途中、巨大騎士が
(地球ではありえない光景だな……)
本当に異界へ迷い込んだ事を実感していると、先行している斥候隊の指揮官が片手を上げる。挙手に合わせてルナヴァディス兄妹の騎体が脚を止めて跪いたので、俺もそれに
『クロード殿、聞こえるかい?』
『あぁ、特に問題はない』
騎体クラウソラスに組み込まれた短距離念話の装置は良好で、脳内にロイドの声が響く。
因みに騎体同士は秘匿性が高い念話を多用するが…… 操縦席にてレヴィアと共に人工筋肉に埋もれて一体化している手前、騎体の聴覚器と発声器を併用した一般的な会話も可能だ。
「ロイド卿、此処より先は異形共の警戒領域にて、これ以上の
『了解した、標的まで約3キロメートルと言ったところか…… 残りは開戦と同時に駆け抜ける』
『太陽の位置から判断して刻限まで少し時間がありますね、兄様』
『クロード、今の内に水分補給しておく?』
耳元で
『皆、予定よりも本隊の仕掛けが早いみたいだ。遭遇戦にでもなったんだろう』
『根拠は…… 鳥か』
此方の指し示した先、騎体との接続で強化された視界に飛び立つ鳥の群れが確認でき、既に交戦が始まっている事を
------------------------------------------------------------------------------------------------
※ 少しでも面白いと思って頂けたら
表紙ページ( https://kakuyomu.jp/works/1177354054893401145 )
の左上部分から青色の★で応援してやってください。創作活動の励みになります!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます