第2の試練「白雪姫」(7)

 これで第2試練終了。

 ラビーは一安心していると。いつの間にか辺りの景色は一変し、アリスの家の庭に戻っている。


 その頃、夢の城では闇の女王が大きな鏡を目の前にし、王の椅子から立ち上がり、ラビーを睨みつけた。

「ルーク、わらわを裏切ったな!? 端からこれが目的だったか!? ラビーの能力を取り戻すことが」

 平然の態度をとるルーク。

「それはちょっと違いますね、女王様」

「何が違う!?」

「私は裏切ってなどいない。寝返ってもいない。それに、私の本来の目的はそれではない」

「本来の目的!?」

「私は確かめたい、アリスの能力を。その為には、女王の魔法が必要だった……。あんな形でラビーの能力を取り戻すとは、予想もしていなかった。これは偶然なのか、それとも、まさか、私のシナリオに気づいたのか」

「ルーク、いったいのなんの話している!? 何を企んでいる!? 答えなさいルーク!」

「……」

「ルーク、答えなさい!」

「……」

「お前がそういう態度なら、今すぐ石にしてやる! 覚悟しなさい!」

「どうぞ、いいですよ。お好きなように。今すぐ石にしてもらっても構わないですよ」

 平然と喋り、動揺すらない、恐れるものは何もない、そんな雰囲気のルーク。


 この光景に、石になるあんな思いは二度したくない闇の女王は、その思いをしているだけに、これはハッタリではない、ルークを石にしたら罠にはまり、まさかこんな手でくるとは、そいつでわらわは、また屈辱を味わう。

 昔のことを思い出し、どうにもこうにも様子を見るしかないと判断した闇の女王は、肝心なノートはここにある、唯一の切り札。わらわが勝つには、今はルークに逆らわない方がいい。まさかこんな思いをするとは。

 苦渋の決断した闇の女王は、とにかくここへ、あの3人連れて来なさい、とだけルークに言い、王の椅子に座った。

 この光景は、もはや心理戦なのか。今の話し、アリスたちには筒抜け。それに気づいたルーク。


 こうもうまくいくとは思ってもいなかったアリスは、ラビーを信じ、無茶をさせた責任を感じながら、自分の読みが当たり、王妃はやはり鏡に操られていた、思っていた通り。そして、この試練のクリアを確信した。

 ラビーは、ルークが裏切っていなことを信じていたが、本来の目的って何、別な意味で困惑している。


 夢の城にいるルークは、大きな鏡を見ている。

「どうやら、話を聞かれていたようですね。アリス様、ラビー王女様。7人の小人たちの誤解を解いたこと、お見事でした。しかし、この試練、クリアならず。何故だかわかりますか? アリス様?」


 この試練の結果に、ラビーは更に困惑し、この結果に納得がいかない。しかし、アリスは違う。にやりとし、まるでこの結果を予想していたようなしぐさを。

「やはり、そうきましたか。ルークさん」

「アリス様、それはいったいどいうことでしょうか?」


 アリスは答えた。

 何故、ルークさんは私に、「お前なら、どう完結させる」と言ったのか。そこには、もう1つクリアしないといけない試練があると思ったの。「お前なら、どう完結させる」その意味、『白雪姫』を読むとわかりました。『白雪姫』は、原作はあまりにも残酷すぎる。そこで『白雪姫』をリメイクした物語がある。しかし、私はなんか違うと感じ、私なりの『白雪姫』を書いてみました。


 ルークは驚いた。いったいどこで、いつ、物語を書いたというのか。アリスはスマホを見ながら、その物語を語り始めた。

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