相沢優香とのお買い物①




「あ、聡太もアニメ見るんだ。あたしも結構見るよ」




相沢が意外なことを言い始めた。




「それで、あたしが中でも好きなのは・・・『ミラガー』かな」




『ミラガー』。正式名称は『超電撃系アイドル ミラクルガールズ』。20年前に放送された美少女アイドルアニメの先駆け的存在である。テレビシリーズ放映から20周年を記念し、声優陣を一新した新作アニメが現在、放送されている。




「マジ!?結構昔のやつじゃん。てか、俺もこのアニメ好きだわ」


「誰が好きなの?」


かなで一択。やっぱり黒髪ロングは正義」


「あたしは舞香まいかかな〜やっぱり、主人公には敵わないでしょ」




俺と相沢はそんな話をしつつ、買い物を始める。




「あった、20周年の主題歌・キャラソン集!あと、クリアファイルに設定資料集も。それと、スマホカバーにアクリルスタンドも!」


「めっちゃ買うじゃないか・・・」


「うん。この日のために撮影の報酬貯めてたからね~」




相沢は次々とミラガーのグッズをかごに入れていく。どうやら好きな作品のグッズはいっぱい集めたいタイプのオタクのようだ。俺はどれだけ好きな作品でも、『実際に使うかどうかわからない』グッズはなるべく買わない主義だ。そこら辺は、俺と相沢のオタクとしての明確な違いかもしれない。


まあ、だからなんだという話だけど。人によって好きな作品が千差万別のように、買いたいグッズもまた違う。それだけのことだ。ただ、俺は好きな作品だからといってどんなグッズも欲しいというわけではない、というだけ。




というか、クリアファイルやストラップってどう使うのが正しいのだろう。アニメ絵のクリアファイルなんて何とか実用できそうだけど、人に見せるのは恥ずかしいし、イラストを眺めるだけならポスターやタペストリーでよくないか? と思う。ひょっとして、俺が知らない楽しみ方があるのだろうか。




「え?普通に部屋に飾るけど。あたしの部屋、普通にアニメグッズだらけだし」




気になったので相沢に聞くと、そう返答された。キーホルダーなども、コルクボードに画鋲を刺し、そこに飾るらしい。なるほど、コルクボードに飾るという発想はなかった。それならかさばらないし、何種類も飾れる。目からうろこだ。俺もやってみようかな。

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