プロローグ

『――こちら本部。現在そちらに応援が向かっています。到着するまでそのまま待機していてください』


「了解。現状維持で待機します」


 本部とのやり取りを簡単に済ませて、わたしは床に押さえつけている男を見下ろした。


 若い。二十代前半かもしれない。


 男がさっきまで握っていた刃物は、わたしが蹴り飛ばしたために今は部屋の隅に転がっていた。


「もったいないね、あなた。まだ若いのに、人生これからでしょ? 何歳なの? わたしとあまり変わらないんじゃない?」

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