第9話嫌な思い

嫌な予感は的中していた。サイヤクな出会いをしてしまった。

筆記試験当日、結局、何事もなく無事終わり安心して最寄り駅まで到着したときのことだった。

いつもなら自転車で家まで帰っているはずだが、就活用のスーツを汚す訳にはいかないと母親が送ってくれた。

しかし、共働きであるため迎えにいくことが、できない。仕方なくタクシーを使うこととなった。だが、待てど暮らせどタクシーが乗り場に到着しない。

見えている未来では、もうとっくにタクシーに乗っているはずだか。

突然、ズレが大きくなった。

これでは、待ち合わせ場所に時間どうりに着かない。焦りがこみ上げてきた時一台のタクシーがやっと到着した。

その後、運転手に家の住所を伝え出発した。問題は、その運転手だった。もじゃもじゃの髪の目の細い50歳くらいの男性だった。

住所を伝えから僕のスーツを見て運転しながら話し始めた。

「君、就活生だよね」

「はい…そうですけど」

「そうか、俺は昔大手の外資系の営業をやっててさ」

そう突然、彼は自分語りを始めた。その後も彼は伝える。

「今は会社辞めてタクシーの運転手やってるけど、優秀な人材は挨拶からシャッキと大声出せる人が多いんだよね。君は声が小さくて自信なさそうに見えるから変えていったほうがいいよ」

「そうですね…努力してみます」

心無い返事をすると彼はこう言った。

「それだよ!それ!今から変えていかないと!君モテないでしょ」

なぜ、モテないことが今関係あるのか?その場を和ますために愛想笑いをしながら「そんなことないですよ~」と答えると

「ダメダメ。絶対モテない。他人から見て尊敬できる人にならなくちゃいけない。俺だって昔活舌悪かったけど直していったからやってみろよ」

こんな、感じで説教が家に着くまで続き疲れてしまった。もし、見えている未来とのズレが無くなればこんな嫌な思いはすんだのかもしれない。

彼女に関わることでズレが起きているのならば、もう会わない方がいいかもしれないと考えながら待ち合わせ場所のゲーセン跡地に向っていく。

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