第9話 泥棒の正体❗❗

 三十分後、松本七瀬の部屋へ何者かが侵入した。男はパーカー姿で、ニット帽をかぶりサングラスとマスクをし変装していた。


 侵入者は足音を立てぬように用心して室内へ忍び込んだ。


 部屋へ入ると慣れた足取りで、すぐにコンセントへ手を伸ばそうとした。

 だが、その瞬間、俺たちは勢いよく玄関のドアを開け乗り込んだ。

「そこまでだ❗❗」


「うゥ……❗❗」

 謎の侵入者も玄関を振り返り驚きの表情だ。


「フフ、もう逃げられないわよ❗❗

 下着泥棒❗❗」

 クリスは侵入者に微笑ほほえんだ。


「うゥ…❗ バ、バカな」

 マスクでくぐもった声だ。


「鳴かぬなら裁いてくれようホトトギス❗」

 俺はその侵入者に、ひと差し指を突き立てた。


「な、何ィ~……❗❗」


「観念しなさい❗ もう逃げられないわ❗」


「そうだ❗❗ 住居侵入及び、窃盗の容疑で逮捕する!」

 現行犯ならば、警察でなくても逮捕が出来た。

「❗❗❗」


「正体を現したら、どう❓❓」

「くうゥ……」


「そうだぜ❗❗ さんよ❗」

 謎の侵入者の正体はマンションの管理人だった。


「な、ナゼだ。お前らはストーカーのトコへ行ったンじゃ……」


「悪かったな❗ あれは演技だよ。 

 あんたをおびき寄せるためのなぁ❗」

 

「ううゥ… え、演技だってェ……」


「ああ……、よく考えれば合い鍵を持ってるヤツが七瀬ちゃんの他にいるだろ❗ あんただ❗❗

 よ❗❗」

「くッ……」


「まさか、管理人のあんたが、合い鍵を使って部屋へ侵入し下着を盗んでいくとはな❗」


「七瀬ちゃんの部屋に盗聴器を仕掛け、彼女が出掛けた時を見計みはからって侵入したのね❓」

「ぬゥ……」


「その盗聴器の有効距離は、せいぜい半径数十メートルだ。ストーカーには無理だ。 

 仕掛けたヤツはこのマンション内にいる人間…… つまり管理人のあんただ❗❗」


「じゃ…、指紋がどうとか言うのは……」


「もちろんだよ❗❗ まんまと管理人あんたは、そのハッタリに引っ掛かっただけだ❗❗」


「ううゥ……」

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