第5話 運動部

男子バスケのコートは熱気でいっぱいだった。

そうこうしてる間に男子バスケは休憩に入っていった。

渡辺君とはろくに目も合わせずに、そのまま、真っ直ぐに女子コートへと向った。

女子の先輩達は、明るく私を迎えてくれた。

「わー、新入生が来てくれた、こちらへ来てね。」

何人かの先輩に言われて進んだ先は、3年生となる女子先輩達の中だった。

優しく迎えてくれる先輩達。

「今日は見学だけしていくの?」

という質問に

「はい、少しだけ見学させて下さい。」

と少し興奮ぎみの私は真中にたたずんでいた。

手をぐいっと引っ張られ「ここに座って見学しててね。」

とパイプ椅子を進めてくれる。

「はい、ありがとうございます。」

見学者は私を入れて4人となった。

女子部員たちは、次々と練習をこなしていく。

突然、隣にいた新入生の子が1人、話かけてきた。

「はじめてかしら…?」

初めて見る顔だ。

小さく首をかしげる。

その仕草も可愛らしい感じの子だった。

「ここのバスケ、強いんだって…。練習もちゃんとしてるしね。」

私はコートに目をやった。

「……。」

皆の練習を見てうなづく。

ー 皆、すごい…。私はやってけるかしら…。

中学生になったら、運動部に入る!!と決めていたけど…。

毎日、部屋の中でジイーと過ごすなんて、考えられなかった。

飛んだりはねたりするのが好きな私は、文化部に入ろうとすら思わなかった。

少し昔のこと…。

小学生の体育のバスケットでシュートがよく決まっていた。

先生に

「和久井さんはシュートがよく決まるね。バスケにむいてるかも。」

と褒められたし、中学生になって入部したい気持ちがつのっていた。

バスケ部に入るとどうなるのだろう。

これまで通り、学校が終わってからすぐ帰宅し、友達と遊ぶという生活はできなくなってくる。

部活動とはそういったもんだ。

中学生になったんだもの…。

バスケットをすることになっていく日々が続くのだろう。

「私、ここのバスケに入りたいな…。」

渡辺君をチラッと見る。

私も入部しよう。

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