第7話 あの日の真相②

再会した小島さんに"付き合ってください"と言われた。

何コレ俺が告白して付き合ったりフラれたりはあったけど、俺が生きてきた中で告白されたとか初めてなんだけど・・・


「なぁ小島先生。あんたまだ若いし美人さんなんだ。こいつも悪い奴じゃないが、態々こんな冴えないおっさんと付き合わなくてももっといい人と出会えるだろ?」


と店長。。。。

・・・間違ったことは言ってないけど人に言われるとそれなりに傷つくよ。


「店長の言う通りだよ。小島さんが俺に告白したのは酔ってたからであって、何も律儀に結婚をお付き合いに置き換えて言いなおすことも無いですよ。

 それか、どうしても気になるなら連絡先も消しますから俺のことを忘れて頂ければそれでもいいんじゃないかと」


そうそう。忘れていただいてよいのです。

あの日からの出来事は全て夢だったという事で。


「・・・違うんです」

「え?」

「確かにお店での告白は正直覚えてませんし、多分酔っていたからだと思います。でも、あの日相良さんとは色々ありましたが、凄く誠実な大人な対応をしてもらって・・・このままお別れするんじゃなくて、もう一度相良さんにお会いして話をしたいと思って連絡先を渡したんです。

 だから、その・・・付き合うとまで行かなくてもお友達、今日みたいに時々会って飲んでくれる飲み友達になって頂けないでしょうか?」


俺、凄く好感度高いんだけど何したんだっけ?

ようやく泣き止んだ小島さんだけど、まだ暗い表情で俺を見つめている。


「洋。あの日何があったかは知らないけど、ここまで言ってくれてるんだ飲み友達位なってあげたらいいんじゃないか?」

「えぇもちろんですよ。断る理由もないですし、むしろこちらからお願いしたい」

「本当ですか!ありがとうございます!」


さっきまで泣いてたのに満面の笑みで俺の手を握ってきた。

何だろう、やっぱり小島さんには笑顔の方が似合うな。

ついニヤけてしまう。


「洋・・・犯罪は起こすなよ」


いや、幼く見えるけど小島さん26だし成人してますし。

そんな俺って問題起こしそうですか?キモイですか?


---------------

などと、一波乱あったものの歳の離れた"飲み友達"としてその後は色々と語り合った。


「へぇ先生って呼ばれてたから何かと思ってたけど川野辺高校の先生なんですね。俺も卒業生ですよ。今はこの間のマンションに住んでますけど実家もこの近所なんです」

「そうなんですか!じゃぁ私の大先輩ですね。私も教師始めてからこの近所に住み始めたんです。実家は川北の方で、バスターミナルの前で中華料理屋やってます」

「え?中華料理屋ってもしかして龍園?」

「はいそうです!ご存知でしたか?」

「ご存知も何も高校の時に友達とバイトしてたよ。じゃあもしかしてお父さんって博嗣さん?」

「はい!父もご存じなんですね。でもまさかうちでバイトしてたとは」

「だとしたら、俺小さいころの小島さんと遊んであげたことあるかもしれないな」

「え?本当ですか」

「あぁ博嗣さんが良くお店に子供連れてきてたからね。肩車してあげたり近所の公園に散歩に行ったり・・・

 う~ん。ただ、今考えると男子高校生が幼児を連れてとか今の時代なら捕まるかもな」

「た 確かに・・・」


俺の精神年齢が低いのか彼女の話術が優れているのか、歳の差が一回り以上離れているにも関わらず、会話は弾み前回の反省を踏まえて酒は少量ながらも楽しい時間を過ごせた。


「あ、結構遅くなってきましたけど明日も仕事ですよね。そろそろお開きにしますか」


時間が経つのが早いというか彼女との時間が楽しすぎたのかもう23:00だ。

7時間近く話してたのか俺たち・・・・


「そうですね。何だか名残惜しいですが、私も酔っぱらって授業とか出来ないですからね」

「そりゃそうだ。あ、外暗いですしご迷惑じゃなければ家の近くまで送りますよ」

「でも、ご迷惑じゃ」

「俺の家も近所ですから遠慮しなくていいですよ」

「それじゃ。。お願いします」


ちょっと頬を染め照れた感じの彼女も何だか可愛いな。


「じゃ店長お勘定!」

「おぅ何だか二人とも盛り上がってたな。場所は提供するから、また飲みに来いよ!」

「「はい!」」


という事で、今日はほろ酔い。足取りもしっかりした形で彼女を家まで送った。

俺の家とは反対側。彼女の勤めている高校に近いマンションだった。


「このマンションですか?」

「はい。父の友人が経営してるらしくて安く借りれたんです」

「・・・・・多分、その友人って俺の親父ですね」

「ええ!!」


そりゃ驚くよな。俺も驚いた。

まぁ俺の実家は、元々農家でこの辺りの地主だったんだよね。

親父の代になって畑の大半は売ったりマンションやアパートにした。

このマンションもそのうちの1つなんだ。


「さっきバイトの話ししたでしょ。当時はバイトできるところがあんまりなくて

親父が当時龍園の店主だった小島さんのおじいさんに頼んでくれたんだよ」

「何というか・・・不思議な縁ですね」

「まぁ何だ世間は狭いということかな」


本当田舎のコミュニティって狭いな・・・


「じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい・・・・あのまた会ってくださいますよね」

「もちろん 次会うの楽しみにしてますよ」


嬉しそうに笑顔を見せる小島さん。

何だか本気になってしまいそうで怖い・・・


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る