第4話 悩む二人と挟まれる人

彼女を飲みに誘うべきか、誘わぬべきか。俺は悩んでいた。


「何うじうじしてるんですか!いい歳して!誘えばいいでしょ!」


とか1周り以上も年の離れた部下の西村ちゃんに怒鳴られ

『この娘と結婚する及川ってドMか?』

とか本人に行ったら殴られそうな事も思いつつ1週間が過ぎた。


「相良さん まだ例の人を誘ってないんですか?いい加減うじうじしてるの気になるので早く誘ってください」

「いや、そうは言ってもな。もし相手が酒の勢いで連絡先渡してたとしたら真に受けて連絡されるの嫌だろうし」

「まだそんな事言ってるんですか?前にも言ったじゃないですか相良さんって見た目は良い方なんだし誘っても嫌がられたりしないですって」


そう言ってくれるのは嬉しいけど40近いおっさんだぜ俺。


「でもなぁ・・・」

「あぁもうめんどくさい。スマホちょっと貸してください。どの人ですか?」

(こうなったら私が代理でメッセを・・・)

「え?あぁこの小島さんって女性」

「ええと小島さんね。。。小島 美香・・・・・・・」


ん?西村さんどうしたんだ?何だか表情が険しいけど。


「ん?どうかしたか」

「あ あの相良さん。飲みに行ったのって場所何処でしたっけ?」

「あぁ俺の地元だけど神奈川の川野辺ってところの駅前にある居酒屋だ」

「そ そうですか。川野辺ですか、、、」

「へぇ知ってるのか?結構郊外の田舎町だけど」

「ええ。私の親友がその町の出身で何度か・・・・」

「ほう そりゃ偶然だな。何にもない町だけど俺は結構好きでな。実家は出たんだがまだ住み続けてるんだ。酒も安いしな」

「そ そうなんですね・・・・あ、そろそろ仕事戻りましょ!仕事!」


何だいったい?


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お風呂に入りソファでスマホを弄りながらくつろいでいると親友の梨花から久々に電話が来た。


「ねぇ美香。この間少しお酒控えるとかメッセもらったじゃん。何かあったの?」

「んん。。。何というか飲み過ぎたのか記憶がなくなっちゃって、見ず知らずの男の人に介抱されたんだよね。流石に危ないかなと・・・」

(見ず知らずの男の人に介抱か・・・やっぱり)

「そりゃ危ないわね。介抱してくれたの良い人だったから良かったけどもしかしたら酷い目にあってたかもしれないからね」

「うん。そうなんだよ。私も怖くなっちゃって」

「で、その介抱してくれた人ってどうなの?」

「え?」

「その後お礼に食事誘ったとか連絡先交換したとか♪まさか介抱してもらって、そのままってわけじゃないでしょ?」

「うん。凄くカッコいいおじ様でね。連絡先とか聞かずに帰ろうとしたから私から『今度一緒に飲みに行きましょ』って連絡先渡しちゃったの。ダメだったかなぁ」

(こりゃ確実の相良さんのお相手は美香だな・・・だとすると)

「そっか。あんたファザコンだもんね。連絡先は良いんじゃないかな」

「ファザコンって・・・(自覚はあるけど人に言われるとなぁ)でも、1週間たつのに全然連絡してくれないんだよ・・・」

(まぁうじうじと悩んでますよ未だに)

「・・・多分年齢差とか考えて美香にからかわれてるとか思ってるのかもよ。思い切って美香からメッセージ送ってみたら?」

(うん 多分あのおっさんを説得するより早そうだ)

「えぇ私から! でもそうだよね歳の差とか考えるとあるかもね。そういうの」

「元々美香から『今度一緒に飲みに行きましょ』って連絡先渡したんだし変なこともないでしょ?」

「そうだよね。うん。そうだ。後で連絡してみるよ!ありがとう梨花!」

「ん じゃちゃんと連絡するんだよ!おやすみ~!!」

(はぁ~疲れる)


と電話は切れた。

あれ?梨花は何の用事で電話してきたんだ?


 

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