第46話 人が大勢運ばれてくる悪夢

 電車が降車駅に着いた。

 ホームは大混雑で足の踏み場もない。

 なんとか降りたが思うように歩けない。


 次の電車がまた到着した。

 ホームに収まりきらない人が続々と線路に降りてしまった。

 

 こんど電車が来たら、大勢の人が轢かれてしまう。止められないだろうか。

 緊急停止ボタンの在処も分からない。

 白状すると、本当は緊急停止ボタンより自分の安全を確保しようとした。

 

 人の流れに乗って跨線橋の上に来た。

 ここでも人がギチギチに混み合っている。転びでもしたら起き上がるまえに踏み潰されてしまいそうだ。


 次の電車が来たらきっとパニックになる。

 ここにいても安全ではないが、どこにも行けない。


 なのに不思議なことに、怖いとか不安だとかいう感覚が全くないのだった。

 電車が来る前に目が覚めた。

 

 夢とはいえ、あの妙に穏やかな気分は何だったのだろう。

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