第9話 ハニートラップか

「ン、ストーカー❓」

 唸るみたいにクリスが聞き返した。


「そ、ッで…、ストーカーらしい男がレイの後を追って来て、俺が軽ゥ~く撃退したンだよ❗❗

 こう、シュッシュッて、ねぇ……」

 軽快にボクシングの真似をした。


 何しろ馬場は喧嘩には慣れている。よほどの事がなければ相手に引けは取らない。


「フフ……、なんだ。

 じゃ、そのお礼に彼女が三百万もくれたッて言うのかァ~❓」

 だが山村は首を振って信じようとしない。


「いや、ま、そのまま彼女がひとりじゃ怖いッて言うからさ……

 車で彼女とドライブして……」

 徐々にボソボソと声が小さくなった。


「なんだ。ご機嫌だなァ~。

 仲良くカー合体ジョイントでもしたのか」


「え、まァ、そのあとビールを飲んだら急に眠くなって…… 起きたら公園のベンチで…

 ヤバいと思って財布を見たら三百万入ってたンだよ……」


「え……」俺もにわかには信じられず眉をひそめた。


「ハッハハ…… おいおい、そんな都合の良い話しがあるかァ~❗❗」

 

「本当なんだよ…… シンゴ君❗❗

 信じてくれよォ~❗❗」


「うゥ…ン…… ハニートラップか❓」

「ハニートラップ……」クリスも眉をひそめ聞き返した。


馬場ジョーカーの話しを全面的に信じれば……、たぶん、そのレイッてが、デリ彼女カノなんだろう❗❗」


「うむゥ……」山村も小さく唸った。

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