第12話 僕の秘密と嘘…(4)

 悠雨に気づかれなかったからよかったのかな?と思いながら二人でベンチに座って話していた時にまた問題が起きてしまった。


 なんと己丞君が後ろから話しかけてきたのだ

「あれ?二人ともなにしてるの?」


 そして驚き声を荒らげる朱希

「え!?な、なんであんたがここにいるの!」


「なんでって、別にちょっと暇だったから寄っただけだよ」


 己丞君は普段の落ち着いた様子で話しかけてきた

 それに対して朱希はすごく慌てている様子で


「あ、こ、この子はね……」

 そう伝えようとする前に


「わかってるよ、桜花ちゃんでしょ!」

 と全然普通の感じてそう言い放ち僕と朱希は「え?……」と声を漏らし少しポカーンとしてしまった。


 それから三人で話をするために近くのテーブル席に座った


 そして僕から己丞君に聞いてみた

「どうして僕だって、気づいたの……?」


「どうしてって小学校からの付き合いだよ、分からないわけないでしょ〜それと、朱希が笑っていたから」


 理由を言われてたしかに一個目方は納得はできた

 でも二個目の方は正直わからなかった。


 己丞君の理由を聞いて朱希が聞き返した

「私が笑っていたからってどういうこと?」


「どういうって、そのままの意味だよ」


 己丞君はそれだけを言って朱希が何度も聞いてもこれしか言わなかった。ただ僕には己丞君がすごく優しい笑顔でいつも以上に笑っていたように見えた。


 そして己丞君が話題を切り替えた

「ところで桜花ちゃん、単刀直入に聞くけど……悠雨のこと好きなんでしょ」


 その言葉に思わず僕は変な声が出てしまった。

「ヒェッ、な、どうしてわかるの!?」


「今まで四人で一緒にいたときの行動とか言動とかそういうのを見てなんとなくね。まぁ、確証に変わったのはさっきの桜花ちゃんの反応だけど。大丈夫だよ、自分は応援してるから!!」


 そう己丞君が話すと朱希がため息のようなものを漏らしながら言った

「本当にあなたって人の観察力強いね、昔っから嘘も簡単に見抜かれたし」


「そういう訳じゃないよ、朱希、桜花ちゃん、悠雨この三人が特にわかりやすいんだよ。みんな悪質な嘘はつかないし反応も純粋だしね」


 こう言った 己丞君の言葉がなんだか寂しさのようなものが感じられたでも、その表情をすぐに普段の様子に戻して己丞君が話を進めた


「で、そんなことより桜花ちゃんは悠雨とどうなりたいの?」


「どうなりたい……か……」

 そう言われて僕の頭の中に妄想が駆け巡った

 デートして手を繋いだり、食事したり、キスをしたり、一緒に……

 そんなことを妄想して完全にヒートアップしてしまい耳まで真っ赤になってしまった。


「へぇー、そんな領域までいきたいのか〜」

 僕のそんな様子を見て己丞君はこう言った。


 それを聞いて余計に恥ずかしくなってしまい顔が真っ赤になって立ち上がってしまった。

「ち、違うよ!そういうわけじゃ……なく……て……いつかはそうなりたいなって……」

 なんで口に出しちゃったの〜!!と思い

 僕は恥ずかしさのあまり自分の口を塞いだ。


 そんな僕の様子を見て二人は笑っていた

 僕は二人に対して「なんで笑ってるの……」と言った


 己丞君は「いや、ごめん、本当に素直だな〜って思ってさ〜」


 朱希は「確かに、己丞が言ったこと桜花は当たってるかもね〜」


 そう言いながら二人とも笑い続けていた


 それから少し経って「よし、わかったならその恋に協力しよう!!朱希と一緒に!」と己丞君が言った


 それに続いて朱希も「うん!ずっとそばで見てきたんだもん、絶対に叶えてあげたいしね」


 そう言ってくれた言葉は正直、胸が爆発しそうなくらい嬉しかったでも己丞君には聞いておきたかった

「あの、己丞君……どうして応援してくれるの僕のこと変だとか、おかしいとか思わないの……?」


 大抵の人には理解されない僕の中身、それをいとも簡単に受け入れてくれた小学校から一緒にいてくれた己丞君にはどうしても聞いておきたかった


「おかしい?なにが変なの?」


 己丞君はこう答えた


「人を好きになることがなにがおかしいの?たしかに大半の人は桜花ちゃんみたいではないと思うよでも、だから違うことを責めたり蔑んだりするのは自分はそっちの方がおかしいと思うよ!なりたい自分が他の人とちょっと違うだけ、好きになった人が他の人とちょっと違うだけ、それだけの事なんだよ、だから自分は桜花ちゃんのことをそう思ったりはしない」


 この言葉を聞いて僕の目から涙が溢れてきた

 朱希に打ち明けて受け入れてくれたときも同じように涙を流した


 やっぱり本当の自分を受け入れてもらえるのは涙が出るほど嬉しい


 泣いている僕を見て己丞君が心配してきた

「大丈夫?なにかいけないこと言った?」


「違うの、ただ嬉しかっただけ……」

 本当にただ嬉しかっただけ、それだけ


 そんな様子を見て朱希は僕を優しく抱きしめてくれた

「桜花、よかったね!」


「うん!!」

 まだ涙が出続けていたけど笑顔で元気よくそう答えた





 〜続く〜

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